一方、古馬に目を向けると今年は近年にない層の薄さが透けてくる。昨年の凱旋門賞の上位馬たちを見ると、人気薄での勝利で世界をあっと言わせたドイツ馬トルカータータッソが今年初戦だった5月末の独G2バーデン経済大賞で勝ち馬から17馬身以上も遅れたブービーの6着に惨敗した。

 2着だった牝馬タルナワは引退し、3着馬ハリケーンレーンは今年初戦だったロイヤルアスコット開催での英G2ハードウィックステークスで3着に終わって前売りオッズが12倍前後まで後退。4着のアダイヤーはなかなか体調が整わず今季初戦を何度も延期している(連覇のかかるキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスにぶっつけ本番で参戦予定)。

 5着馬シリウェイも5月末の仏G1イスパーン賞で牝馬のドリームローパーに屈しての5着。そして6着だったディープインパクト産駒の英愛オークス馬スノーフォールは今年1月に急死してしまった。そのほか、昨年はドバイシーマクラシックや英インターナショナルステークスを勝ったミシュリフも今年2月のサウジカップは14着。その後は休養に入ったままで、7月の英G1エクリプスステークスかキングジョージでの復帰が見込まれている。

 では新興勢力の台頭はというと、その筆頭候補だったベイブリッジは英G1プリンスオブウェールズステークスでステートオブレストの2着に敗れて連勝が5でストップ。勝ったステートオブレストは10ハロン前後の中距離が主戦場なうえ、オーナーサイドの意向で昨年同様に今年後半は豪州遠征に出る可能性が浮上している。

 ということで、今のところは5月の愛G1タタソールズゴールドカップでステートオブレストやロードノースを破ってG1初制覇を果たしたアレンカーと、仏G1サンクルー大賞勝ちや米G1ブリーダーズカップターフ2着があり、ハードウィックSでハリケーンレーンを下したブルームが目立つ程度。ただし両馬は昨年の凱旋門賞で9着と11着だったように決して欧州のトップオブトップではない(もちろん今年になって急成長した可能性はゼロではないが)。実際、前売りオッズもアレンカーが21倍前後、ブルームは34倍前後と伏兵扱いのままだ。

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