高校最後の夏は、6月下旬の練習試合で死球を受け、右手甲を骨折した影響から、打撃のたびに痺れるような痛みをこらえながら、3試合で11打数4安打4打点を記録したが、神奈川県大会4回戦で日大藤沢に2対5で敗れた。

「次は神宮で活躍したい」の言葉どおり、慶大でも4年間で通算15本塁打を記録。“高橋由伸2世”と注目されるも、15年のドラフトではまさかの指名漏れに泣いた。

 大学卒業後、JX-ENEOSでプレーを続け、2年後のチャンスを待ったが、17年のドラフトでも指名なしに終わる。

 18年には米球団のトライアウト受験を経て、「今年指名されなければ野球を辞める」と四国アイランドリーグ・徳島に所属しながらラストチャンスに賭けたが、同年のドラフトでも名前を呼ばれずに終わると、「野球はこれで終わり。今日出た結果が自分の進むべき道」と気持ちを切り替え、IT企業に入社。現在は前出の徳島の取締役兼球団代表を務めている。

 現役球児では、すでに清原超えを達成した花巻東2年の佐々木麟太郎が、どこまで記録を伸ばすか注目される。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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