女優の凰稀かなめ(おうき・かなめ)さん(撮影/上田耕司)
女優の凰稀かなめ(おうき・かなめ)さん(撮影/上田耕司)

宝塚歌劇団の宙組男役トップスターだった女優の凰稀かなめ(おうき・かなめ)さん(39)。2015年の宝塚退団後も、映画「マスカレード・ナイト」やドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」に出演するなど、活躍の幅を広げている。15年間在籍した宝塚歌劇団での知られざるエピソードや「3度辞めようと思った」という心境、そして恋愛や結婚観に至るまで、90分にわたり語ってくれた。

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 かなめさんは2000年に宝塚音楽学校を卒業し、86期生として宝塚歌劇団に入団した。2015年に退団するまで雪組、星組、宙組の男役として活躍し、トップスターに上り詰めた。

 かなめさんは3人姉妹の末っ子。宝塚音楽学校に進むことになったのは、両親の勧めだったという。

「母が昔からミュージカルやお芝居が好きで、近所の小劇場の公演によく行っていたんです。ある日、母とテレビを見ていたら、宝塚の月組トップスターだった天海祐希さんの退団(1995年)のニュースが流れていたんです。そこで母から『宝塚見に行ってみる?』と誘われて、行ったのが最初でした」

 当時はまだ12~13歳。東京・有楽町にあった「東京宝塚劇場」で観劇した。

「1階の後ろの席で、舞台は小さくしか見えなかったんですが、華やかですごい! と感動しました。私には遠い世界だと思いましたが、後日、母親から『宝塚の試験を受けてみれば?』と言われたんです。宝塚を目指す人たちは小さい頃からお稽古しているのは知っていたので、私は『無理だと思うよ』と答えつつも、それから毎日、お稽古に通い始めました。まあ『受からなかったらしょうがない』と思っていたので、気負いがなかったのがよかったのか、楽しく受験ができました。でも(音楽学校に)入ってからが大変だったんですけどね」

 宝塚音楽学校での指導は厳しい。初舞台前には、レオタードでそろってツマ先を上げるラインダンスの稽古をみっちりとつけられた。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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「宝塚を辞めたい」と思ったときの出来事