ロッテ・松川虎生(写真提供・千葉ロッテマリーンズ)
ロッテ・松川虎生(写真提供・千葉ロッテマリーンズ)

 今年も多くのルーキーが既に一軍デビューを果たしているプロ野球だが、そんな中でも最も注目を集めているのがロッテの松川虎生である。プロ野球史上3人目となる高卒ルーキーでの開幕スタメンを勝ち取ると、4月10日には佐々木朗希の完全試合を好リード。24日の試合では判定に不服な態度を見せた佐々木に対して激高した白井一行球審をなだめる姿も話題となった。松川がこのまま正捕手に定着できるかは未知数であるが、プロ野球人生の好スタートを切ったことは間違いないだろう。

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 キャッチャーというポジションはその特異性から評価が難しいと言われており、過去5年のドラフトを見ても松川以外で1位指名された捕手は2017年の中村奨成(広島)と村上宗隆ヤクルト)だけ。村上はプロ入り後すぐにサードへコンバートとなり、中村も現在は外野を守ることが多くなっている。近年では複数の捕手を併用するケースも増えているが、不動の正捕手がいると他のキャッチャーはどうしても出番が少なくなり、将来の正捕手として期待されて入団しても控えのまま終わる選手も多い。

 そんな中で最も上手く期待通り正捕手を固定できている球団と言えばやはり西武になるだろう。1981年のドラフト1位でその後の黄金期を支えることになる伊東勤を指名。ちなみに伊東は本工でプレーしていたが、当時西武の監督を務めていた根本陸夫のはからいで所沢高校へ転校し、球団職員としても採用する“囲い込み”をしたうえで1位指名したという経緯もある。それだけ根本が伊東の才能を高く評価していたことがよく分かるだろう。伊東はその期待に応えてベストナイン10回、ゴールデングラブ11回を受賞するなどリーグを代表する捕手となっている。

 伊東の後の正捕手を見ても細川亨(2001年自由枠)、炭谷銀仁朗(2005年高校生ドラフト1位)、そして現在の森友哉(2013年1位)その年のドラフトの最上位で指名した選手が続いており、全員がベストナインに選ばれているのだ。これだけ揃って1位指名した捕手が活躍している球団は他には見当たらない。有望な捕手を見出し、育てるということに関しては12球団でもナンバーワンと言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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