西武に次いで近年目立つのが巨人だ。山倉和博(1977年1位)の後はしばらく絶対的な正捕手が育たず、1995年1位の原俊介も結果を残すことはできなかったが、大ヒットとなったのはやはり阿部慎之助(2000年1位)だ。当時は逆指名制度があったため、早くから阿部を徹底マークして入団にこぎつけると、プロ入り後も1年目からレギュラーに定着。若い頃はリード面を酷評されることもあったが、年々攻守に安定感が増し、2132安打、406本塁打を記録するなど強打の捕手として長く活躍した。そして阿部の後釜となったのが小林誠司(2013年1位)だ。過去2年間は苦しんでいるものの、2016年からは4年連続でリーグトップの盗塁阻止率をマークするなど球界を代表する強肩捕手として活躍している。西武が伊東、炭谷、森と高卒選手が多いのとは逆に山倉、阿部、小林と大卒、社会人の選手が揃っているというのも対照的で面白い。

 逆に1位指名の捕手が大成していないのが広島だ。達川光男の後釜として指名した瀬戸輝信(1990年1位)は球団の高い期待を受けながらプロの壁に苦しみ低迷。プロ5年目以降に二番手捕手として一軍には定着したが、最後まで正捕手という地位を築くことはできなかった。地元である広陵高校出身の大型捕手として期待されたのが白浜裕太(2003年1巡目)だ。高校3年春には西村健太朗(元巨人)とバッテリーを組んで甲子園優勝を果たすなど超高校級捕手として注目を集めたが、プロでは一度も一軍に定着できていない。現在も現役を続けているが一軍の戦力としては考えづらく、期待した通りの活躍はできなかった。また冒頭で触れた中村奨成も現在のチーム事情を考えると、正捕手定着の可能性は高くはないだろう。

 阪神中日も近年は苦しんでいる印象が強い。阪神はかつては田淵幸一(1968年1位)、木戸克彦(1982年1位)と1位指名から正捕手を輩出しているが、その後は中谷仁(1997年1位)、浅井良(2001年自由枠)、岡崎太一(2004年自由枠)と多くの選手を最高順位で指名しながらレギュラーにすることはできていない。

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中日も中村武志以降は…