準々決勝以降は投打で相手を圧倒して4度目のセンバツ優勝を果たした大阪桐蔭
準々決勝以降は投打で相手を圧倒して4度目のセンバツ優勝を果たした大阪桐蔭

 センバツ高校野球で4年ぶり4度目の優勝を果たした大阪桐蔭。初戦の鳴門戦こそ3対1とロースコアの接戦だったものの、広島商の出場辞退による不戦勝を挟んで以降の3試合はいずれも二桁得点の大勝で、1試合少ない4試合ながら大会記録を塗り替える11本塁打を放つなどまさに圧倒的な力を見せつけての優勝だった。今大会の合計ホームランが18本だったことを考えると、その打力がいかにずば抜けていたかがよく分かるだろう。

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 これで昨年秋の新チーム結成以来20連勝(広島商との不戦勝を含む)となり、夏も大本命となることは間違いない。大阪桐蔭は2012年、2018年と2度の春夏連覇を達成しているが、当時のチームが記録したスコアと比べてみると以下のような結果となった(校名は当時)。

【2012年】
・主な選手:藤浪晋太郎(阪神)、沢田圭佑(オリックス)、森友哉(西武

対花巻東:9対2
対九州学院:5対3
対浦和学院:3対2
対健大高崎:3対1
対光星学院:7対3
得点27 失点11

【2018年】
・主な選手:柿木蓮(日本ハム)、横川凱(巨人)、根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ

対伊万里:14対2
対明秀日立:5対1
対花巻東:19対0
対三重:3対2
対智弁和歌山:5対2
得点46 失点7

【2022年】

対鳴門:3対1
対広島商:不戦勝
対市和歌山:17対0
対国学院久我山:13対4
対近江:18対1
得点51 失点6

 得失点差は過去の2チームを上回るプラス45。対戦相手の実力やチーム状態を考えると単純比較はできないが、この春の戦いぶりだけを見れば過去最強という声があることも決して不思議ではない。

 しかし、それだけで大阪桐蔭史上最強チームと言うのはいささか早計と言えるだろう。まず過去の2チームと比べて少し見劣りする感が否めないのが、ドラフト上位候補と言える選手の存在だ。2012年のチームはプロ入りした人数こそ3人だが、エースの藤浪とキャッチャーの森はいずれもドラフト1位で指名されており、その世代でもナンバーワンと言える存在だった。2018年のチームは根尾と藤原の2人が1位指名され、柿木と横川も下位指名ながら高校からプロ入りを果たしている。また、現在立教大に所属している山田健太も今年のドラフトで上位指名候補の呼び声高い。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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