だけどね、気づくとどんどん売れていった。そして僕が高校2年の時です。

 友達が2年5組の教室に持ってきた1枚のアルバム。Xの発売されたばかりのアルバムが当時のオリコンLPチャートで1位と取ったのです。

 教室の窓から見えるのは田舎の景色です。でも、田舎のその教室から夢を見て周りに何を言われようが突き進んで、勝ちあがっていった先輩がいる。

 そのアルバムを見て、自分の中の血液の流れが早くなっていったのがわかりました。

 だから可能性は0じゃないと。

 そこから自分が思ったことを口にするようにしました。バカにされようと、口にすることで自分の意志を固める。

 安房高校の講演で、喋っている間につい熱くなってしまいました。あの時、YOSHIKIさんとTOSHIさんが夢の標識を見せてくれたように、目の前の生徒たちの中で、夢を見ているけど、自分で諦めようとしてる人がいるなら、絶対のその種を捨てないでほしいと。

 僕は思うんです。「自分の夢を笑うような人は友達じゃない」と。それを強く言いました。

 講演が終わり、インスタのDMに安房高の生徒たちからDMが届きました。熱い思い。夢を諦めようとしたけどがんばりますと書いてる人もいた。

 Wikipediaを開いてXJAPANを調べると、「LIVE」のところに、1982年と83年のところに「千葉県立安房高等学校文化祭LIVE」と書いてあります。

 僕が講演したその体育館で、高校時代のXは文化祭でLIVEをした。夢の種です。

 余談ですが、今年、とある仕事をTOSHIさんに頼みました。TOSHIさんは、「後輩から頼まれたら行くでしょ」とスケジュールを無理くり空けててノーギャラで来てくれました。

 何歳になっても夢を見られることが才能。後輩たちよ、僕も49歳ですが、もうちょっとだけ夢見て頑張るぞ。

安房高魂!

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中。毎週金曜更新のバブル期入社の50代の部長の悲哀を描く16コマ漫画「ティラノ部長」と毎週水曜更新のラブホラー漫画「お化けと風鈴」の原作を担当し、自身のインスタグラムで公開中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)は発売中。「お化けと風鈴」はLINE漫画でも連載スタート。YOASOBI「ハルカ」の原作「月王子」を書籍化したイラスト小説「ハルカと月の王子様」が好評発売中。長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が発売中。作演出を手掛ける舞台「怖い絵」が2022年3月に東京・大阪にて上演。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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