「新しい資本主義実現本部事務局」の看板を持つ(左から)山際大志郎ワクチン担当相、岸田首相、木原誠二官房副長官
「新しい資本主義実現本部事務局」の看板を持つ(左から)山際大志郎ワクチン担当相、岸田首相、木原誠二官房副長官

 官邸のグタグタぶりに危機感を抱いた岸田文雄首相は3日、側近の寺田稔元総務副大臣を首相補佐官、盟友である石原伸晃元幹事長を内閣官房の参与に起用すると発表した。

「寺田さんは安全保障を木原副長官から引き継ぐ形になります。木原副長官にこれ以上、任せられないと、岸田首相が同じ広島が地盤で岸田派側近である寺田さんを抜擢した。しかし、寺田さんだけでは現在、政権が抱える重大な目詰まりを解決するのは困難です。それなのに落選し、派閥会長を辞職し、ただの人になった石原氏を参与(観光立国担当)に起用なんてピントがズレまくっています。石原氏は安倍元首相とも仲がいいので、岸田首相はパイプ役を期待しているようですが、こうしたお友達人事で各省の不信感や離反が起こりはじめています」(前出の官邸関係者)

 今回の騒動は木原副長官だけではなく、斉藤国交相の対応も大問題だったという。自民党幹部はこう指摘する。

「斉藤国交相は、衆院選期間中に開いた個人演説会の出席者にトラック協会が現金を渡していた疑惑や資産等補充報告書に1億円超の記載漏れが報じられ、メディア対応に四苦八苦。省内の動きにすら目を配れていなかった。所管大臣なのに事前に話を知らない、という大失態を演じたのは、国交省幹部に軽んじられている証左です。公明党は遠山清彦元財務副大臣が東京地検特捜部から取り調べを受けるなど不祥事続きで、政権や霞が関で軽んじられています」(自民党幹部)

 そもそも岸田官邸には安倍・菅政権の時代、懐刀だった杉田和博元官房副長官のような霞が関に睨みの利く、存在感のある人物はいないという。

「岸田官邸全体として言えるのは、どこか人任せ。結局、何より問題なのは、政権中枢にコロナ対策を本当に理解した人材がいないことです」(同前)

 岸田政権のこうした機能不全はオミクロン株などコロナ対応にも影響が出ているという。

「特にワクチンでは、前倒し供給にかかるファイザーとの調整にも木原副長官ら官邸幹部が政治案件として関与しようという意識が薄く、厚労省任せとなり、難航しています」(同前)

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