写真はイメージです(Getty Images)
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 首都圏で家を買う夫婦のリアルな事例や最近の不動産事情を探った連載「それでも夫婦は東京に家を買う」。今回のテーマはパワーカップルとタワマン。首都圏の新築マンションの価格は高騰しているものの、会社員夫婦の購買意欲は旺盛だ。超低金利などの条件がそれを可能にしている。だが、リスクはないのか。専門家にきいた。

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>>【前編:都心タワマン購入パワーカップルの意外な生活感 新築1億円を共働き夫婦が「買える」理由】から続く

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バブル後の景気低迷から、「超低金利時代」と言われて久しい日本。だが、大手デベロッパー出身の不動産コンサルタント、長谷川高さん(長谷川不動産経済社代表)は「超低金利が当たり前という時代を生きてきた世代が、リスクをよく考えずに多額のローンを組んでいる」と警鐘を鳴らす。

「今は、夫婦両輪の“大車輪”のごとく、多額のペアローンを組む例が珍しくない。今は良くても、病気や事故、子育てや転職などで、どちらかの収入が減ったり途絶えたりするリスクは当然ある。借り入れ金額を増やしてしまうことで、教育費などの支出がかさみ、ローンの支払いに窮するケースもよく見られています。借りられる金額が、必ずしも返せる金額ではないということを考えるべき」

 高額な借入金である住宅ローンは、組み方を失敗すると、自らの人生を不幸にしてしまうほどのものとも言える。超低金利時代とは言え、固定金利にするか変動金利にするかも、リスクの面から見ると大きな差がある。超長期固定金利の住宅ローン金利が低い今は、原則的には「全期間固定金利(超長期)」でローンを組むことを考えた方がいいそうだ。

「不動産会社の営業マンは、少しでも月々の支払額を安く見せたいので、『ほとんどの方は変動金利で借りています』などと、変動金利を奨めてくることも多い。ですが金利上昇リスクのある変動金利で借りることは、大きなリスクを背負うことになる。『金利が安いのは当たり前』だと思い込むと、こんなはずじゃなかったということになりかねません」(長谷川さん)

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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