同記事を執筆したジェフ・フレッチャー記者は、今回のBWAAでMVP投票を行った記者の1人だが、大谷がMVPを取るほどの活躍をみせたことに驚きをもっているようであった。

 記事にも書かれているが、同記者は、昨季大谷が日米を通じてキャリアワーストのシーズンを過ごしたことに心配を寄せていた。大谷にそういった背景があったからこそ、今季がいかに注目に値するシーズンであったかを同記者は述べていた。

 大谷のMVP受賞は、米球界以外にも大きな影響を与えたようだ。『CBSスポーツ』によれば、ネバダ州のシーザース・スポーツブックが今回の結果で100万ドル(約1億1434万円)近くを失ったという。記事には、今年の3月19日に同州在住者が大谷のMVPに3万ドル(約340万円)を賭け、大谷の受賞により90万ドル(約1億291万円)を受け取ることになったと報じている。同スポーツブックの担当者は、テレビのインタビューで、「この種の市場においては、これまでで最大の損失になる」と明かしたことが紹介されていた。

 もっとも、大谷へのオッズは発表直前には1.02倍となっていたため、終盤にベットしたものはこれほどの金額は受け取れないが、このように早い段階から大谷に期待を込めていたギャンブラーにとっても、今日の発表は間違いなく吉報だったことだろう。

 今年のア・リーグMVP受賞者は、大谷本人を含め、誰もが納得し、そして誰もが喜ぶ結果となった。大谷には、エンゼルスとの契約の延長をどうするかという件が残っており、すでに現地メディアはその話題に興味を移しているようである。だが、今は大谷の偉業を大いに祝福し、大谷が成し遂げたこの快挙に、あらためて敬意を表したい。(在米ジャーナリスト・澤良憲/YOSHINORI SAWA)