今年はルーキーの活躍が目立つ年だったが、そんな中でもケガさえなければという一瞬の輝きを見せたのが若林楽人(西武)と五十幡亮汰(日本ハム)の2人だ。若林は開幕一軍入りを果たすと、4月途中からはトップバッターに定着。5月22日の日本ハム戦では1試合3盗塁を決めて早くもシーズン20盗塁をマークし、盗塁王レースを独走する活躍を見せた。しかし5月30日の阪神戦で左膝前十字靭帯損傷の大ケガを負い戦線離脱。6月には手術を受けてそのままシーズンを終えている。もしケガなく1年を通じてプレーしていれば、新人王レースに加わっていた可能性は高いだろう。

 そして若林以上の脚力を持つ五十幡もそのスピードから脚への負担が大きいせいか、度重なる故障で一軍出場はわずか27試合に終わっている。ただそんな少ない出場機会の中でも9個の盗塁を決め、盗塁失敗はわずかに1と入団前から期待されていたスピードの片鱗は見せている。来年以降、揃って万全の状態でプレーできれば、パ・リーグの盗塁王争いはこの2人が中心となることも十分に期待できるだろう。

 今年のルーキーでもう1人、故障からの復活が待たれるのが山崎伊織(巨人)だ。東海大では2年春から主戦となり、3年秋には4勝0敗、防御率0.20という圧倒的な成績でMVP、最優秀投手、ベストナインの三冠にも輝いている。しかしリーグ戦後に行われた横浜市長杯で右肘を痛めると、翌年6月にはトミー・ジョン手術を受けて長期離脱となった。

 ただそんな投げられない状態でも、ドラフト2位という高い順位で指名されているところに、山崎のポテンシャルの高さがよく表れていると言えるだろう。今月8日にはプロ入り後初めて打者を相手にピッチングも行っており、回復ぶりをアピールしている。万全の状態に戻れば150キロを超えるストレートと鋭いスライダーは素晴らしいものがあるだけに、チームの救世主となる可能性も十分にあるだろう。

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今季ケガを克服して活躍したベテランは?