その後は秘書も<時間が取れない>として、直近の11月12日号と19日号では編集担当が代理で連載記事を書いていた。
訃報を受けて、親交のあった作家の佐藤愛子さんはこうコメントをAERAdot.編集部に寄せた。
「言葉にできないような気持です。私は98歳、瀬戸内さんは99歳。とうとう仲間がいなくなってしまったなあと。これから冥途の風を私が受けますね。瀬戸内さんは永遠に死なない存在というか、いつも元気でわれわれの前に立っていてくれて、その存在で安心させてもらっていました」
瀬戸内さんは1922年5月15日、徳島市生まれ。21歳で結婚。長女を出産したが、夫の知人と不倫関係になり、娘を残して家を出ている。その後、本格的な文学活動を開始し、1957年に『女子大生・曲愛玲』で第3回新潮社同人雑誌賞を受賞。人気作家となる。作家・井上光晴氏との不倫があったことでも知られている。
73年、51歳のときに平泉・中尊寺で得度。同年、週刊朝日11月30日号で手記を著し、表紙も飾ったことがある。2006年に文化勲章、17年度朝日賞を受賞している。
不倫については井上氏の娘で作家の井上荒野(あれの)さんが、父と母、瀬戸内さんの三角関係を題材にした長編小説『あちらにいる鬼』(朝日新聞出版)を執筆。映画化も今月5日に発表されていた。荒野さんとは19年2月18日号の『AERA』で対談をし、話題を集めた。
著書は『夏の終り』(新潮社)、『美は乱調にあり』(文藝春秋)、『寂聴 残された日々』(朝日新聞出版)、『寂聴 九十七歳の遺言』(同)など多数。
(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)