中日の立浪和義新監督(C)朝日新聞社
中日の立浪和義新監督(C)朝日新聞社

「時代に逆行している」という批判は覚悟の上だろう。中日の立浪和義新監督が10月29日に行った名古屋市内の就任会見で、「今の時代にあまり規制をかけるというのは良くないことかもしれませんが、やはりスポーツ選手はスポーツマンらしく、ファンの皆様も見ていますし、髪型にしても、そういったことも含めてきちっとした形でスタートしようかなと思っています」と選手の身だしなみについて語った。

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「茶髪、長髪、ひげ禁止」はすでに選手やチームスタッフに通達済みだ。ひげがトレードマークの愛称「マスター」こと阿部寿樹はひげをきれいにそり落とした。茶髪や長めの髪だった選手たちも短い黒髪に整えて秋季キャンプに参加している。

 SNS、ネット上では「自由にやりたかったらチームとして強くなり個人としても数字を残せば良い。落合監督退任以降の中日の成績なら文句言えないでしょ」と理解を示すコメントがあれば、「私はこういう規制は好きじゃない。高校生じゃないんだから、自由にすればいいでしょ。ゲレーロJrとかタティスJrとかMLBは見た目個性的な選手が多いのに、日本はいつまでたっても変わらないね」と否定的な見方も。反応は様々だ。

 立浪監督は野球強豪校のPL学園で厳しい上下関係を経験し、中日入団時は鉄拳制裁で知られた星野仙一監督の下でプレーした。ただ、決して「昭和気質の指導」を標榜しているわけではない。実際に記者会見で、「我々が入った頃のような当時星野監督の厳しさは当たり前、これだけ人って怒れるのかなと言うぐらい怒られていましたけど、当然今の時代にそういったことが通用すると思っていません。選手とコミュニケ―ションを取りながら、今の時代にあった指導をしっかり考えていきたいと思っています」と語っている。

 では、なぜ身だしなみについて規制を設けたのか。立浪監督を現役時代から取材しているスポーツ紙記者はこう話す。

「当時の中日は武闘派と呼ばれる選手が多かったが、立浪監督は物腰が柔らかく後輩に対しても礼儀や挨拶など最低限のルールを守れば、うるさいことを言わなかった。今回の茶髪、長髪、ヒゲ禁止も打ち出すことに葛藤はあったと思いますが、低迷期が長く続くチーム状況で緩い雰囲気が漂っていたことは確かです。外見から変わることで中身も変わる。ひげをそれば野球がうまくなるわけではないですが、身だしなみを整えるというのはもう一度野球に真摯な姿勢で向き合おうという立浪監督のメッセージだと思います」

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