実際、太氏が最も票差をつけたのも大和市だった。太氏の陣営関係者は「(甘利氏が勝った)綾瀬市は公明党市議の動きも活発でしたが、大和市の学会員の動きが鈍かったように思う。大和市の創価学会員の動きが勝敗を分けたところもあるのではないか」と話す。
勝敗を分けたという、その大和市(人口約24万人)で、創価学会婦人部に所属する飲食店経営の女性はこう振り返る。
「私たちの選挙は”口コミ”なんです。今回の衆院選は、(どの選挙区も)公明党議員は接戦になると言われていましたから、友人や知人に、けっこう頑張って電話しました」
この女性は「聖教新聞」と「公明新聞」の2紙を取り、選挙のたびに公明党を応援しようと熱心に選挙活動を続けてきた。第3次推薦とはいえ、公明党も甘利氏に推薦を出していたが、女性は甘利氏は応援できないと感じていたという。
「知人には『比例は公明党で』とお願いしましたが、『小選挙区は甘利さんで』とはお願いしませんでした。私が甘利さんには入れたくなかったからです。甘利さんはお金にまつわる不信感があるし、親の代から衆院議員でテングになっているから、私のまわりでも評判が悪い。甘利さんには正義がない。だから友達にも勧められないんです。子供たちにも説明できないでしょう」(同)
5年前のUR(都市再生機構)をめぐる口利き金銭授受疑惑について、甘利氏は改めて説明責任を求められたが、「まったく一点の曇りもありません」と言うばかりで、街頭演説でも具体的な説明は避け続けた。
「街頭演説でも何だか覇気がなくて、ぐずぐず言っているだけで、モヤっとした疑惑は残ったままでした」(同)
創価学会は婦人部を中心に金銭スキャンダルへの拒否感が強い。こうした甘利氏の態度が、創価学会員に嫌われた可能性は十分にある。選挙中、甘利陣営の幹部も記者に「甘利さんはもともと公明党とはそんなにベッタリではない」と説明していた。地区の学会幹部からは、甘利氏支援の指示などはなかったのか。