厳しい表情でラジオのインタビューに答えた甘利明氏 (c)朝日新聞社
厳しい表情でラジオのインタビューに答えた甘利明氏 (c)朝日新聞社

 太氏の勝因についてはこうみる。

「選挙中、モットーである『命もいらない、名前もいらない、金もいらない』を訴え続けた。真面目でウソのない、真実一路の人なんです。それが有権者に受け入れられたのではないか」(大波市議)

 今回の結果について、政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう話す。

「甘利氏は当初『総裁に進退を預けます』と言っていましたが、それがもうダメ。預けるのではなく、自分から幹事長を辞めるのが当たり前です。幹事長というのは党の選挙を仕切る責任者。その責任者自身が選挙終盤、3日間連続で地元にはりついている状況はダメに決まっているじゃないですか」

 岸田文雄首相は甘利氏の進退について記者団に問われた際、「本人の話を聞いて判断する」と話していた。

岸田首相は、菅氏から政権から引き継いだ時、全部リセットしてクリーンな政権をつくろうと思えば作れたわけです。それなのに、『政治とカネ』の問題を再び思い出させるような甘利氏を幹事長に持ってきた。その時点でこういう事態は予測できたでしょう」

 角谷氏はこう続ける。

「二階俊博前幹事長だったら、小選挙区の自分の選挙で落ちることはないし、二階さんのままでよかったんじゃないかという意見がまた出てきそうですね。組閣で冷や飯を食った人たちからも、ほらみたことかとなりますよ。これから党内政局になると思いますね」

(AERA dot.編集部・上田耕司)

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら