相馬市新型コロナウイルスワクチン接種メディカルセンター長の渋谷健司医師(写真提供/渋谷医師)
相馬市新型コロナウイルスワクチン接種メディカルセンター長の渋谷健司医師(写真提供/渋谷医師)

 中学生の結果でも、1回目、2回目ともに最も多い副反応は「接種部位の痛み(腫れ、かゆみ含む)」で、1回目接種後は82.3%、2回目接種後は73.8%。次いで多かったのは「倦怠感(だるさ、疲れなど)」で、2回目で56.2%、「発熱(37.5度以上)」は2回目で55.4%となった。

 この結果について、渋谷医師は「中学生でも、高校生や大人にはない特別な副反応が出たり、特に強い副反応が出たりということはない」と言う。

「副反応は、よくある接種部位の痛みや倦怠感、発熱がほとんどでした。大きな副反応というのはまずなく、翌日もしくは長くても数日程度で治まる程度です。確かに、高齢者より若者のほうが免疫反応がしっかりある分、副反応は出やすく、1回目より2回目のほうが副反応が強いという傾向はあります。しかし、子どもだからといって特別に心配する必要はないと思います」(渋谷医師)

 接種を受けた中には、アレルギーのある生徒もいたというが、そうした生徒に関しても「注意深く経過観察をし、全く問題なく接種できた」(同)という。

■学校生活への影響は?

 ただ、数日で治まるものの発熱で学校を休むなど学校生活への影響は出る。生徒への接種で配慮すべき点については、渋谷医師はこう説明する。

「高校生の場合、37.5度以上の発熱があった生徒が2回目の接種後には56.0%。そのうち6割以上の生徒が『高熱により生活(登校)に支障があり、自宅で安静(学校休み)』ということなので、学校を休む可能性は考えておいたほうがいいですね。相馬市の場合は、なるべく学校を休まなくてすむよう、高校生は土曜日に、中学生は夏休み中に接種を行うといった配慮をしていました」

 早くから接種が進む相馬市では、子どもの接種に不安を抱く保護者にどのように対応したのか。相馬市保健福祉部の原史朗部長はこう話す。

「何より、判断材料を示すことが重要だと考えています。相馬市では一番最初に接種が始まった医療関係者、市の職員にも、接種後の副反応についてアンケートを取っていました。保護者が一番心配されるのは副反応についてなので、その結果をホームページに公開し、さらに中学生の保護者には直接送付して不安を解消できるように努めました」

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周囲の安心感が大切