鴻上尚史さん(撮影/写真部・小山幸佑)
鴻上尚史さん(撮影/写真部・小山幸佑)
写真は本文とは関係ありません(※イメージ写真/iStock)作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします
写真は本文とは関係ありません(※イメージ写真/iStock)
作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします

 ダウン症の娘をもつ38歳母親が、人々の悪意が我が子に向けられたらと不安を吐露。「気持ちの持ち方についてアドバイスを」と問う相談者に、鴻上尚史が答えた「障害のある子を守るたった一つの方法」とは?

【画像】5人に1人の子どもが悩んでいる!発達障害と間違えやすいHSCとは?

【相談116】障害のある娘をどうしたら人々の悪意から守れるのか(36歳 女性 くじら)

 鴻上さん、はじめまして。いつも楽しくそして何度も頷きながら拝読しております。

 私は現在36歳で、共働きで保育園に通う2人の子供を育てています。

 我が家の次女は、ダウン症があります。産後すぐは、長女になんて申し訳ないことをしてしまったんだろう、どうしたら妊娠前に時間が戻せるんだろう、などと今思うと最低のことを思ってしまったこともありました。しばらくは次女といても気持ちに靄がかかったような状態だったものの、次女の可愛さが少しずつそれを晴らしてくれ、今ではこの子じゃなければよかったという気持ちは1%もないと自信を持って言えます。

 幸い周りの環境にも恵まれ、保育園の先生方や主治医など優しい方々に囲まれて、なにより子供たちの可愛さに救われて(大変さも同じくらいありますが……)楽しく毎日を過ごしています。

 さて、ご相談したいのはこれから次女が成長し、学校、社会に出て行く中で、どうしたら悪意のある人から守れるのか、ということです。つい先日某ミュージシャンの過去の行為がニュースになり、同じように不安に思い動揺している方がたくさんいるのではないかと思います。大きくは次女に限らず、健常である長女を含め、全ての子供たちに関わる問題だと思います。

 あのニュースを見てから(過去の記事を全て読んだわけではないのですが)心がえぐられたような感覚が消えません。被害に遭われた方を思うと涙が出ますし、次女にそんなことが起こったらと思うと、動悸がして胸が苦しくなります。

 親ができることとしてはとにかく環境をよく考えて選んで、できる限りのことをするしかないのだとは思っています(被害者の方のご両親がよく考えていなかったということでは全くありません)。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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