もやもやするのは、もやもやしたいからだ、後悔するのは、後悔したいからだ、と思っている人間です。誰もが、自分がなりたい人間に、思いどおりの人間になれる、と考えています。

■諦めたら、やる気が出ない

【相談2】
 人生を諦めたは良いのですが、そうしたら、あらゆることのやる気が出ません。

 すべてが、どうでも良いのです。

 休みの日は、食べて、寝て、ネットを見るだけです。このまま漫然と死を迎えるしかないのでしょうか?

 ある程度の健全なエネルギィを保ち続けるコツは何でしょう?

【森博嗣さんの答え】
 やる気なんかなくても、あなたは生きているわけですね?

 それで充分ではないでしょうか。それが、「人生を諦めた」という意味です。健全なエネルギィを保ち続けることも、ついでに諦めればよろしいのではないでしょうか? 人生を諦めるよりも、だいぶ簡単だと思います。

「コツ」というものが、どういう意味なのか、僕にはわかりません。世の中にそういうものが存在するのでしょうか? 僕は見たこともないし、経験したこともありません。誰かが、そういうものがあると吹聴しているのでしょうか? おそらく、それは宗教に近いものでしょう、と想像するばかりです。

 僕自身、毎日沢山のことをしなければ生きていけません。食べたり寝たりするのもそうです。でも、それらに対して「やる気」をもって臨んだことはありません。やる気を出しても、特に良いことはなにもありません。それは「コツ」と同じく、「やる気」を信仰する宗教のようなものなのでしょう、きっと。

■夢を妥協するタイミングとは?
 
【相談3】
 自分には夢があります。それは、自分自身の趣味を完全に楽しめる家を造ること。しかし、そのためには、何千万単位のお金を注ぎ込まなければいけないし、住む場所も限られます。理解してくれるパートナも見込めません。

 趣味のためだけの人生になるのは確実です。時間もお金も限られている中で、自分の趣味をとことん追求する勇気も、まだ持てずにいます。どこまで自分の欲望を追求すべきで、どのタイミングが諦めどきなのでしょう?

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