6月28日時点の世界ランキングで畑岡に次ぐ日本勢2番手の27位となり五輪への切符を手にしたのが稲見だ。

 当初は畑岡こそ五輪出場が確実視されていたが、2番手を争っていたのは渋野日向子と古江彩佳で稲見は「圏外」にいた。ところが今年に入ると明治安田生命レディスで優勝し、ヤマハレディースオープン葛城、富士フイルム・スタジオアリス女子オープンで連勝。この後も2勝し、2021年だけで5勝をマーク。圧倒的な強さを見せ、滑り込みで代表入りを決めた。

 稲見の強さは「練習の虫」から生まれたスイングの再現性にあると言われる。それを証拠にパーオン率は74.47%で2位、フェアウェイキープ率74.35%も12位と高い水準で、さらにパーセーブ率は90.13%でトップとショートゲームにも長けている。またゴルフ以外にもウェイトトレーニングやキックボクシングなど主にスタミナ作りや体幹強化にも取り組んでおり、他の女子プロたちと一線を画しているのも特筆すべきところだ。

 これまで世界のトッププロとプレーをする機会はほとんどなく、大舞台での経験が浅いところは畑岡と異なる部分だが、今年のプレーを見る限りビッグタイトルへの期待は膨らむばかり。31日まで楽天スーパーレディースでプレーしていた稲見は休みなしで五輪に挑むことになるが、それが吉と出るか凶と出るかも注目される。

 海外勢に目を移すと、五輪連覇を目指す朴やネリー・コルダ(米)、コ・ジンヨン(韓)、レキシー・トンプソン(米)など一流どころも当然目を引くが、ここはフィリピン代表として五輪に臨む笹生のプレーが楽しみだ。

 日本とフィリピンの国籍を持つ笹生は、今年の全米女子オープンで日本人女子三人目の海外メジャー制覇を達成。フィリピン人としては男女を通じて初となるビッグタイトルを手に入れた。

 ロリー・マキロイ(北アイルランド)に憧れる20歳の笹生は、スイングがマキロイと「激似」。女子プロとは思えない飛距離を武器に、昨年の国内女子ツアーでいきなり2連勝すると、一気にスターダムにのし上がった。快挙を成し遂げた全米女子オープン以降も先月出場した米ツアーの2大会はともに5位と調子は上々。五輪で参加する国籍は異なるが、故郷でのプレーに当然気合も入るはずで、畑岡、稲見にとっては手強いライバルとなることは間違いない。

 果たして畑岡と稲見は日本にメダルをもたらすことができるのか。あるいは笹生が、またまたビッグニュースをフィリピンに届けるのか。4年に一度の決戦はまもなくティーオフする。