競泳女子の個人メドレーで2冠を達成した大橋悠依 (c)朝日新聞社
競泳女子の個人メドレーで2冠を達成した大橋悠依 (c)朝日新聞社

 7月23日に開幕した東京五輪(※競技は21日からスタート)。夏季の五輪としては32回を数えるが、今まで個人競技で金メダリストを輩出していない都道府県も存在する。

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 前回のリオデジャネイロ五輪が終了した時点で金メダリストなしの都道府県は、岩手、福島、埼玉、福井、長野、滋賀、京都、鳥取、島根、香川、沖縄の1府10県。そして、福井と沖縄に関しては、これまでメダリスト自体が生まれていない。

 東京五輪では7月30日終了時点で、個人競技では13人の金メダリストが誕生したが、今五輪で“金メダルなし”から最初に卒業したのが滋賀だ。競泳の大橋悠依が女子400m個人メドレーと、200m個人メドレーで2冠を達成している。東京五輪前までに滋賀出身のメダリストは、太田雄貴(フェンシング男子フルーレ個人)が2008年の北京で銀をとったのみだったが、同県に2つの金メダルをもたらした。

 大橋と同じく水泳の瀬戸大也も埼玉県出身のアスリートとして初の金メダリストになることが期待されたが、今回の五輪では金はおろか、まさかのメダルなしに終わった。大会前には「金メダルは99%獲れる」と自信を見せていた400m個人メドレーでまさかの予選敗退に終わると、続く200mバタフライでは準決勝で敗退。そして最後に出場した200m個人メドレーでも表彰台にあと一歩には迫ったが4位に終わり、複数の金メダルもあるという戦前の予想から、メダルゼロという残念な結果となった。

 だが埼玉からは、水泳と同じく日本のお家芸でもある柔道で金メダリストが誕生。新井千鶴が女子70キロ級を制し、同県初の個人競技の金メダリストに。準決勝でのマディナ・タイマゾワ(ロシア・オリンピック委員会)との激戦も話題となるなど、瀬戸が期待に応えられない中で同県に初の金メダルをもたらしている。ちなみに、同じく柔道の60キロ級で金メダルの高藤直寿は出身地は栃木だが、生まれは埼玉県でもある。

 柔道は他に、京都出身の芳田司が57キロ級で金メダルの可能性があったが準決勝で敗退し、銅メダル。個人競技ではメダリストがゼロの福井県出身では、フェイシング男子エペ個人の見延和靖も候補だったが、3回戦で敗退して同県出身初のメダリストとはなれなかった。だが、その後に行われたフェンシング男子エペ団体のメンバーの1人として金メダルを獲得している。

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今後“金メダルなし”からの卒業が期待できるのは?