決勝ラウンドに進めるのは、予選プール各組2位までと、3位計3チーム中得失点差などの成績上位2チーム。日本は英国戦での大敗が痛かったが、カナダ戦に大勝すれば、まだメダルを争える可能性はあった。

 しかし、それはカナダも同じ。決勝ラウンド進出に必死な相手に前半だけで3トライを許し、0-19と先行される。フィジー戦、英国戦ではキックオフで相手の長身選手に競り負けたが、カナダは短く低いキックを蹴り、追う選手がタイミングを合わせて次々と確保。日本は体格差だけでなく、対応力でも苦しんだ。結局、12-36で3連敗となり、メダルを争う夢は競技2日目の午前中に潰えた。

 9―12位決定戦の初戦はケニア戦。リオの予選ラウンドでは31-7で快勝している相手だったが、開始直後にトライを奪った後は3連続トライを許して7-21で敗れた。最後の一戦こそ31-19で勝って最下位は免れたが、対戦相手の韓国はオリンピック初出場で、ワールドカップ・セブンズも2005年大会を最後に出場していない。そのチームに開始直後にトライを先取された戦いぶりは決して快勝とは言えなかった。

 5年前のリオデジャネイロ大会で、日本ラグビー界ではシニアの世界大会での最高成績となる4位に入った。その前年の2015年に開かれた15人制のワールドカップで南アフリカを破って世界を驚かせ、2019年のワールドカップでは予選プール4戦全勝で初の決勝トーナメント進出と大躍進を遂げてきた日本ラグビー界において、セブンズだけがすっかり出遅れた格好だ。

 リオオリンピック後、瀬川智広ヘッドコーチが続投の意欲を持っていたにもかかわらず、日本ラグビー協会は指導者交代に踏み切り、ニュージーランド人のヘッドコーチを起用した。

 新ヘッドコーチはオリンピック種目のセブンズを軽視する日本ラグビー界にあって選手の招集に苦しみながらも、ラグビーの国際統括団体ワールドラグビーが主催するセブンズの世界サーキット、HSBCセブンズワールドシリーズの全大会に出場できるコアチームへの復帰を果たす。しかし、2018年5月の契約満了のタイミングで事実上解任。後任に就いたのは、本来なら任命責任を問われるはずの立場にいた男女の7人制代表総監督だった岩渕健輔氏だった。

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惨敗の原因を検証する必要性