写真はイメージ (c)GettyImages
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 誰もがSNSのアカウントを持つようになった現代。就職、転職活動では、企業人事の9割が採用候補者のSNSをチェックしているという(就職情報サイト「キャリch」調べ)。「裏アカウント」と呼ばれる匿名のアカウントを持つ人も多いが、それすらも就職活動の際にはチェックされているかもしれない――。企業から依頼を受けて採用候補者のSNSを調査する調査会社は「アカウント特定率88%」をうたう。一体何をどうチェックしているのだろうか?サービスを展開する2社に取材した。

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「シーズンによって左右されますが、1カ月に300~400件ほど依頼が入ることもあります」

 こう話すのは、裏アカウント特定サービス「Sトク」を展開する調査会社「企業調査センター」の広報担当者だ。Sトクは、就活生のSNSのアカウントを特定し、採用側が候補者らの人間性や考え方、ネットリテラシーなどの把握に役立てるサービス。「探す労力や時間を節減したい」といった企業側からのニーズの高まりを受け、昨年9月にサービスを開始した。

 価格は1人の調査につき8000円(リスク判定付きのプランは1万5000円)。完全成功報酬制で、特定できなかった場合、料金は発生しない。人数が増えるほどコストがかかるため、最終面接の手前など、ある程度候補者を絞ってから依頼する企業が多いという。

 依頼は大企業から中小企業の採用まで、規模を問わず舞い込むそうだ。クライアントの業種の内訳は、IT系が5割、金融系が3割、その他が2割ほど。調査対象は新卒が多いというが、中途採用候補者の依頼も2割ほどある。転職を考えている社会人も、油断禁物というわけだ。

 コロナ禍を機にオンライン面接が主流になったことで、ニーズが増したという。

「オンライン面接では物足りなさを感じる人事も多い。しぐさ・表情・ちょっとした動きなど、対面でしか分かり得ない情報もあるため、実際に会ってみると印象が違ったということもあります。それを補う形で、人間関係やコミュニケーション能力などバックグラウンドを知りたいというニーズが増えたのだと思います」(Sトク広報担当者)

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大企業からの依頼も増えている