就活生のSNS特定を請け負うサービスは他にも存在する。株式会社HRRTが手がけるSNSチェックサービス「MiKiWaMe」もその一つ。価格は一人当たり一律2万円。19年秋から開始し、コロナ禍となった2020年度の依頼数は、前年比180%と大幅に伸びた。そして今年度の依頼数は、6月時点ですでに20年度の総数を上回ったという。「最近は、年間売上高500億円クラスの大企業からの依頼も増えている」と広報担当者は語る。

 両社ともに、アカウントの特定には「専門的なテクニックを要する」という。前出のSトクが公表しているアカウント特定率は88%。匿名のアカウントも多い中、なぜ、これほど特定できるのか。

「詳しいことは企業秘密なので明かせませんが、ネット調査の専門チームが時間をかけ、様々な角度から検索をかけていきます。投稿内容やニックネームから本人を割り出す方法、出身校の同級生や勤務先の同僚との繋がりからたどる方法など、特定方法は様々です。ちなみに、実名が基本のフェイスブックは、比較的アカウントが見つけやすく、他の人との関係性も分かりやすい。そこからたどるのがセオリーの一つではありますね」(Sトク広報担当者)

 ツイッターでは、一定数のアカウントが「鍵アカ」と呼ばれる、公開範囲を自身のフォロワーに限定した設定にしているが、この場合はどう扱われるのか。

「鍵がかかっていれば、その時点で自衛の意識やネットリテラシーが高いという判断をしています。ただ、閲覧者がつながっている人との会話は見ることができるので、誰かに見られているという意識は持っておいた方がいいと思います」(同)

 個人情報やプライバシーに厳しくなっている昨今だが、こうしたアカウントの特定は、法的には問題ないのだろうか。「SNSの投稿は世の中に公表している公知情報にあたるため、カギをこじ開けるわけではない。法に抵触することは一切ない」(同)と同社は言う。

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