『鬼滅の刃』人を喰わない鬼・竈門禰豆子がもたらした「矛盾」と「変化」 (1/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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『鬼滅の刃』人を喰わない鬼・竈門禰豆子がもたらした「矛盾」と「変化」

禰豆子(画像はコミックス「鬼滅の刃」11巻のカバーより)

禰豆子(画像はコミックス「鬼滅の刃」11巻のカバーより)

『鬼滅の刃』に登場する「鬼」たちは、人間を食料とすることで、その生命を保ち続ける。しかし、主人公の妹・禰豆子は、強烈な飢餓感にさいなまれつつも、鬼化してから、ただの1度も人間を食べていない。禰豆子は「人を喰わない鬼」として、鬼狩り集団「鬼殺隊」と行動をともにするようになるが、禰豆子の存在は、鬼を憎む人たちに、新しい感情を生み出した。禰豆子が「殺されない鬼」となったことは、罪と罰、救済と制裁など、現代にも通底するテーマを内包している。

【写真】「上弦の鬼」のなかで最も悲しい過去を持つ鬼はこちら

【※ネタバレ注意】以下の内容には、既刊のコミックスのネタバレが含まれます。

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■鬼に変貌させられた禰豆子

 ある日、人里離れた山中に暮らす竈門(かまど)一家が、鬼に襲われる事件が起きる。主人公・炭治郎(たんじろう)の妹・禰豆子(ねずこ)は、「鬼」に変えられてしまった。この現場に居合わせた、鬼狩り集団「鬼殺隊」の剣士・冨岡義勇(とみおか・ぎゆう)は、禰豆子に日輪刀を振るう。炭治郎は妹の命を救ってほしいと頼むが、義勇は厳しく答えた。

<治らない 鬼になったら人間に戻ることはない>(冨岡義勇/1巻・第1話「残酷」)

 凶暴になった鬼が自分の愛した人を襲撃する悲劇は、過去にたくさん起きていた。――鬼化した人物は、すぐに殺さねばならない。これは、鬼を知る人たちの共通認識だった。

■新しい鬼・禰豆子

 禰豆子は「特別な鬼」だった。他の鬼のように、「鬼の始祖」鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)に精神を支配されなかった。そして、人間を喰うことでしか満たされないはずのエネルギーが、長時間の「睡眠状態」によって補完されるという“突然変異”の鬼だったのだ。実は、禰豆子以外にも人を喰わない鬼は3体いるが、彼らは人の血を少量摂取する必要があった。

 人間の血も肉も必要としない禰豆子は、まさに「新しい鬼」だ。この後、禰豆子は、鬼の弱点を克服するようになり、無惨は完全体へと近づくために、「禰豆子奪取」をもくろむようになる。つまり、人間側にとって、禰豆子は無惨に奪われてはならない「弱点」でもあるのだ。人を襲う危険もあり、鬼化した禰豆子は依然として「殺されるべき存在」であった。


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