――最後に、医師として伝えたいメッセージなどがあればお願いします。

 イベルメクチンを分けてくれと殺到するのを見て私は驚くばかりで、近くのかかりつけ医に相談すればいいのではと思うのですが、よく考えてみれば、そういうことをやっている医者がいないということの裏返しなんですよね。そもそも医者は何のためにいるのか? 病んでいる患者のためにいるわけでしょう。ですが、患者が本当に困っている時にかかりつけ医の役割を本当に果たせているのでしょうか。第一線の開業医の脆弱さや、日本医師会の関心の低さ……こうした現状が、イベルメクチンをめぐる状況を通して透けて見えてくるのではないでしょうか。

>>日本発「イベルメクチン」 インドがコロナ治療で感染者数減もWHO「反対」のナゼ(北里大・花木教授の見解へ続く)
(構成=AERA dot.編集部・飯塚大和)

●長尾和宏(ながおかずひろ)
1958年香川県生まれ。医療法人社団裕和会理事長、長尾クリニック院長。医学博士、関西国際大学客員教授。複数医師による年中無休の外来診療と在宅医療に従事。新型コロナウイルス蔓延以降、自宅療養のコロナ患者も精力的に往診している。