小説家デビューした“日テレ現役キャスター”が感じていた「もどかしさ」と「異端の自分」 (1/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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小説家デビューした“日テレ現役キャスター”が感じていた「もどかしさ」と「異端の自分」

作家としてデビューした日本テレビの鈴木あづさ氏(撮影/写真部・高野楓菜)

作家としてデビューした日本テレビの鈴木あづさ氏(撮影/写真部・高野楓菜)

 日本テレビのキャスターとして活躍する鈴木あづさ氏(46)は、4月に『蝶の眠る場所』(ポプラ社)で「水野梓」として小説家デビューした。本作は、テレビ局の女性記者がドキュメンタリー番組の取材を通して、ある小学生の転落死の「謎」に迫るミステリー小説だ。

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 だが単なる“謎解き”で終わらず、冤罪、死刑制度、犯罪加害者の家族、シングルマザーなど社会に横たわる諸問題が、さまざまな場面で主人公に突き付けられる。報道の現場に身を置く著者ならではのリアリティーは話題を呼び、本作は発売直後に重版が決まった。なぜ鈴木さんは報道キャスターでありながら小説というフィクションの世界に飛び込んだのか。小説で伝えたいことは何だったのか。

*  *  *
――鈴木さんは日本テレビで警視庁担当など社会部畑を歩み、中国総局特派員や国際部デスクなども歴任されました。NNNドキュメントのプロデューサーなどをへて、現在は経済部デスク、『深層NEWS』のキャスターとして活躍されていますが、キャリアは一貫して報道の現場です。そんな生粋の「報道人」が小説というフィクションに挑戦しようと思った理由を教えてください。

 22年間ずっと報道の現場にいるなかで、マスメディアの記者として真実を追い続けるには、ある種の“限界”があると感じていました。マスメディアは毎日大量のニュースを追いかけて取材します。事件発生直後はバシャバシャとフラッシュをたいて関係者に話を聞いて回りますが、熱が冷めた後の「その後」を取り上げることはなかなかありません。テレビの記者は1分でも早くオンエアした方が勝ち、という強迫観念があり、その競争に明け暮れます。

 でも、事件の当事者や家族たちはその後も苦しんだり、もがいたりしながら人生が続きます。『NNNドキュメント』というドキュメンタリー番組にいた時、死刑執行された男性の妻が再審請求をした「飯塚事件」を取り上げました。冤罪の疑いがある中で死刑は執行されましたが、遺族にとっての“真実”は別にあると思います。日々の小さな事件の中にも同じような“真実”はあるはずです。ニュースでは取り上げられない「その後」にこそ、私たちが知るべき本質があるのではないか。そう思って、死刑囚の遺族をめぐる物語を書き始めたんです。


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