第1波が落ち着いた6~7月ごろからは、同院でもPCR検査を入院患者全員に実施した。それ以降は、検査で新型コロナが陰性であることを確認してから入院してもらうようになったという。それにより病院側も徐々に落ち着いて対応できるようになった。

 手術をする際は、たとえば月曜日に手術をする場合、金曜日に来院してもらいPCR検査をおこない、土曜日に結果が陰性で問題がなければ、月曜日に手術をするという流れになったという。

 またコロナ禍に手術以外で困ったこととして、入院患者の面会ができないことだったという。患者は手術が済んだ後も家族に会えず不安になり、看護スタッフの負担も増えたという。

 現在の外来診療では、オンライン診療を利用して顔を合わせる努力をしたり、事前に診察情報の資料を送ってもらったりして、遠隔の患者の利便性を考慮しながら、何度も来院せずに手術ができるような方策をさまざま考えているという。

 20年8月から重点医療機関として同院でもコロナ患者を受け入れるようになったが、コロナに対しての病院の対応を、きちんとホームページなどで明記することが重要だと山田医師はいう。

「当院も昨年クラスターが出ましたが、すぐに封じ込めました。現在、われわれ医療スタッフも2週間に1度PCR検査を受けています。たまに陽性者も出ますが、濃厚接触者も含め、即座に勤務を休ませています」

 20年の手術数は大きく減らなかったというが、21年になってからはどうだったのか。

「第3波になってからのほうが患者さんは減っています。今年の2月、3月は手術件数も、前年の6割くらいに減り、2021年の年間手術数はおそらく170~180症例くらいになると思います」

 新型コロナに対する病院内での体制は整い、ノウハウも確立してスタッフも慣れてきたため、安心して受診してほしいと山田医師は話す。

「患者さんは何も心配することないですよ。コロナの検査が陰性なら予定通りに手術ができますと伝えています。ただし、相変わらず東京へ行くのはちょっと遠慮したいという患者さんはいらっしゃいます。とはいえ、コロナだから治療が手遅れになるということは許されません。患者さんが安心できるような情報をきちんと発信していきたいと思います」

(文/伊波達也)