この結果について、桜井さんはTwitterの「高い匿名性」を指摘する。相手の顔が見えないツールゆえに、友人・知人との会話のような心安らぐ気分が得られず、「ネットいじめ」に巻き込まれる可能性が高いことが、先行研究でも知られているという。

「Twitterは友人・知人との交流を目的としていないSNSなので、メンタルヘルスに寄与するような有機的なやりとりが生じにくい。もちろん、ニュースや情報を得るために使っている人もいますし、ポジティブな発信をしている人もいると思います。

 しかし、こうした心を豊かにするような使い方をする人がいる一方で、無機質なツイートや攻撃的なツイートを発信する人もいます。そのような人は何かしらの不満を抱え、メンタルヘルスが良好でない可能性もあります。同時に、攻撃的なツイートからメンタルヘルスに悪い影響を受けることもあるかと思います」

「匿名性」のほかにもう一つ重要なポイントがある。それは、「テキストベースかイメージ(画像)ベースか」という点だ。

「メールのやり取りで、相手の気持ちが読み取れず、『この人は怒っているのかな?』と思うときがありませんか? しかし相手に電話をかけてみると、怒っているわけではなかったと気づく。テキストベースのSNSではそうした行き違いが起きやすく、とくにTwitterのような相手が見えない(相手を知らない)SNSでは、その傾向は顕著になると思います」(桜井さん)

 イメージ(画像)のやり取りは、ポジティブな気持ちを共有しやすいという研究がある。米オレゴン大が253人を対象に行った研究では、InstagramやSnapchatなどのイメージベースのSNSの利用が、孤独感を減少させ、幸福感や生活満足度を高めることが示唆されたという。

 今回の調査でも、Instagramのフィードを頻繁にチェックする若年層は、「満足感・幸福感」が高く、「悩み・抑うつ傾向」が低いことがわかった。閲覧すること自体が良好なメンタルヘルスと関連しており、発信することとメンタルヘルスの関連は見られなかったという。

 一方イギリスでは、YouTube、Twitter、Facebook、Snapchat、Instagramのなかで、Instagramが若年層のメンタルヘルスにとって“最悪”のSNSであるという研究が2017年に発表され、話題になった。競って「インスタ映え」する写真をアップしようという心理が不安を高め、良くない影響を与えていると言われている。

次のページ
インスタ好きはやっぱり「リア充」?