リリーフで開花の兆しが見えるのが鈴木博志(中日)だ。2年目の2019年には開幕から抑えに抜擢されて14セーブをマークしたものの、徐々に打ち込まれる試合が増えて6月には二軍に降格。昨年は二軍でも結果を残せない日々が続いた。

 復活のきっかけとなったのが昨シーズン途中にフォームをサイドスローに変更したことだ。オーバースローの時と比べても明らかに制球力が安定し、ここまでのオープン戦でも好投を続けている。ストレートのスピードは少し落ちたものの、カットボールとツーシームを軸にして横の幅を広く使えるようになったのは大きな成長だ。このまま結果を残し続けていけば、抑えのR.マルティネスに繋ぐセットアッパーの役割を任せられる可能性も出てくるだろう。

 リリーフから先発転向を目指す投手では馬場皐輔(阪神)の名前が挙がる。プロ入り3年目の昨年は中継ぎとして32試合に登板して2勝9ホールド、防御率2.08という見事な成績を残した。今年もオープン戦ではリリーフで起用されているが、徐々にイニング数を増やしており、14日の巨人戦では3回を2安打、無失点と好投を見せている。

 まだコントロールに不安な部分はあるものの、鋭く落ちるスプリットに加えてカットボールのレベルも上がっており、頼れる変化球が増えたのは大きい。エースの西勇輝の調整が遅れているだけに、首脳陣の馬場にかける期待も大きいはずだ。

 復活を目指すドラフト1位では藤浪晋太郎(阪神)と武田翔太(ソフトバンク)の2人に期待したい。藤浪は昨年までと比べても抜けるボールが明らかに減っており、160キロに迫るストレートと鋭く変化するカットボールはやはり一級品だ。既に開幕投手にも指名されているが、大きくフォームを崩すことがなければ2015年以来となる6年ぶりの二桁勝利も見えてくるだろう。

 武田も2015年から2年連続二桁勝利をマークしてからは故障もあって年々成績を落としていたが、今年は久しぶりに順調な調整を続けている。持ち味である大きなカーブが安定したことで、ストレートも生きるようになった。エースの千賀滉大と昨年チーム3位となる9勝をマークした東浜巨が開幕ローテーションに間に合わないことが決定的だけに、その穴を埋める存在として期待できそうだ。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら