中日・鈴木博志(左)と阪神・馬場皐輔(右)(写真提供・中日ドラゴンズ/阪神タイガース)
中日・鈴木博志(左)と阪神・馬場皐輔(右)(写真提供・中日ドラゴンズ/阪神タイガース)

 開幕まであと2週間を切ったプロ野球ドラフト1位ルーキーでは佐藤輝明(阪神)、早川隆久(楽天)の2人が注目を集めており、特に佐藤はオープン戦でも左方向へ一発を放つなどここまで期待通りの活躍を見せている。その一方でニュースになる機会は減ったものの、今シーズンの飛躍を感じさせる過去のドラフト1位選手も確かに存在している。そこで今回はそんなブレークの期待がかかるかつての“ドラ1”をピックアップして紹介したいと思う。前回の野手編に続いて投手編だ。

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 高校卒2年目ながら早くもブレークの予感が漂っているのが宮城大弥(オリックス)だ。ルーキーイヤーの昨年は二軍でウエスタンリーグトップタイの6勝を挙げ、シーズン終盤には一軍で初勝利もマーク。今年もキャンプ、練習試合から安定した投球を重ね、オープン戦初登板となった3月6日のDeNA戦では先発で5回を投げて被安打2で無失点、翌週13日の巨人戦でも5回を被安打2で1失点と見事なピッチングを見せている。

 171cmと上背はないものの、下半身はしっかりしており、既にプロで戦える体ができているように見える。ストレートはコンスタントに145キロ以上をマークし、打者の手元で生き物のように鋭く変化するスライダー、チェンジアップも一軍で通用するボールだ。このままいけば開幕ローテーション入りは確実で、1年を通じてコンディションを維持することができればかなりの成績を残す可能性もあるだろう。

 一方、ここ数年エース格として期待されながら足踏みが続いているのが今井達也(西武)だ。3年目の2019年には7勝をマークしたものの、昨年は開幕から打ち込まれる試合が続いて3勝に終わり、防御率も自己ワーストの6点台に沈んだ。ストレートはコンスタントに150キロ以上をマークし、スピードに関しては間違いなくチーム内でも1、2を争う存在だが、厳しいコースを狙いすぎてカウントを悪くして自滅するというのが悪いパターンとなっている。走者を背負ってからの投球も課題だ。

 ただ投手陣が苦しいチーム事情を考えると、独り立ちしてもらわなければならない存在であることは間違いない。ここまでのオープン戦でも少し不安定な内容ながらも、それなりの結果を残していることは好材料だ。同じ高卒のドラフト1位の先輩である高橋光成に続いて、今年は一皮むけることを期待したい。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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