ロボット手術は2018年4月に保険適用になったが、できる病院は限られており、まだまだ発展段階である。しかし、これから更に進歩することが期待される。産業医科大学病院では同年6月からロボット手術を開始した。田中医師は言う。

「最初は操作に戸惑う面もありましたが、100例を超えてからはロボット手術のほうが断然手術がしやすい。細い血管までよく見えて細かい処理ができるので、術後の出血やリンパの浸出液も少なくて済みます。内臓を3Dで見ることができ、人間の手では不可能な動きも可能。出血時の対応など、解決すべき問題も残されていますが、より精密で正確な手術ができます」

 ランキングの一部は特設サイトで無料公開しているので参考にしてほしい。「手術数でわかるいい病院」https://dot.asahi.com/goodhospital/

【医師との会話に役立つキーワード】

《すりガラス印影》
通常のがんと異なり、細胞がかたまっておらず、転移の可能性が低いがんのCT画像。細胞がかたまったがんのまわりにぼんやりと写る。

《区域切除》
肺は右に三つ、左に二つの肺葉からできているが、肺葉の中の肺がんのある区域のみを切除する術式。肺葉切除よりも小さい範囲で肺を取りきる。

【取材した医師】
産業医科大学病院 病院長・呼吸器外科教授 田中文啓 医師
北里大学病院 呼吸器外科主任教授 佐藤之俊 医師

(文/編集部・濱田ももこ)

※週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2021』より