親に十分な資金があれば、有料老人ホームなどの民間施設に入ってもらうこともできるだろう。しかし、そんな余裕のある親ばかりではない
親に十分な資金があれば、有料老人ホームなどの民間施設に入ってもらうこともできるだろう。しかし、そんな余裕のある親ばかりではない

 コロナ禍で、今年の帰省をあきらめた人も多いだろう。しかし、年末年始だからこそ、電話だったりオンラインを駆使して、両親や義理の両親と連絡を取る人は増えるはずだ。

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 そこで話しておきたいのが「介護」のこと。「介護のほんね」の運営や介護離職防止のためのセミナーを行う、株式会社メドレーの吉田晃之さんに取材をした。

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年末年始はどうしても両親とのコミュニケーションが増える。久しぶりに会ってみると「親も年老いたなぁ」と思うことも多いだろう。

 しかし、そこで終わらずに「介護」について考えたり、親と話し合っておいたりすることが大切だという。なぜなら、今から約4年後の2025年には、介護を必要とする人が急増する社会を迎えようとしているからだ。それとともに「介護離職」が深刻な社会問題になりかねないのだ。

 25年、日本の人口のボリュームゾーンである団塊世代がすべて75歳以上、つまり後期高齢者になる。25年時点の75歳以上の人口予測は2180万人、これは「約5.6人に1人が75歳以上」という数字だ。

 75歳以上の後期高齢者になると、介護が必要になる人がぐんと増える。しかし一方で、介護の支え手となる子世代は、40~50代。働き盛りの世代である。このときに、ある日突然、親が介護状態になったらどうなるだろうか。

■自分の仕事を捨ててまで、介護をするべきか

 突然始まった介護……仕事を続けながら一生懸命に対応していくうちに、どんどん体力を削られていく人も多いという。また、両親に突発な事態などが起きて、周囲の人に迷惑をかけることも少なくない。次第に、介護と仕事の両立に疲れ、「介護離職」という道を選択する人も出てくると予想される。

 しかし、介護離職は、できるなら避けたほうがいい。

 老人ホーム・介護施設の検索サイト「介護のほんね」の運営および、会社員や企業の人事担当者向けに介護離職防止のためのセミナーを行っている、株式会社メドレーの吉田晃之さんはこう話す。

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