※写真はイメージです(写真/Getty Images
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埼玉精神神経センター・埼玉国際頭痛センター長 坂井文彦医師
埼玉精神神経センター・埼玉国際頭痛センター長 坂井文彦医師

 日本人の潜在患者数が約4000万人とも言われる頭痛。人口の3人に1人が悩んでいるという国民病だ。頭痛にはさまざまな原因があり、生命の危機に関わるものもある。たとえ生命の危機がなくとも、「たかが頭痛、されど頭痛」と言われ、日常生活のQOL(生活の質)に大きく影響する 。

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 頭痛は、医学的には367種類に分類されるというが、まず重要なのは、1次性頭痛か2次性頭痛かを鑑別することだという。日本頭痛学会顧問で、埼玉精神神経センターの埼玉国際頭痛センター長である坂井文彦医師に話を聞いた。

「一口に頭痛と言っても、その原因はさまざまです。たかが頭痛とは考えずに、医師による正しい診断を受け、すばやく対処していくことが、日常生活を支障なく過ごしていくためには大切です」

 1次性頭痛とは、慢性頭痛とも言われるもので、“頭痛もち”と一般的に言われる病態だ。脳の一時的な異常による頭痛で、頭痛の9割はこの1次性頭痛だ。

 一方の2次性頭痛は、脳や頭の病気の症状として表れる頭痛で、その裏には脳腫瘍やくも膜下出血、脳炎など、生命にも関わる病気が隠れている。
 
「医療機関を受診して、問診、画像検査などにより、重篤な病気が見つかった場合には、専門的な治療を早急に受けなければなりません。一方、慢性頭痛と判明した場合にも頭痛の種類によって対処法が異なりますので、専門医による正しい診断に基づいた治療を受けるべきです」
 
 先述したとおり、頭痛の種類は367種類だが、多くの人が悩む慢性頭痛は、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛の三つに大きく分けられる。
  
 なかでも最も多いのは、緊張型頭痛だ。頭痛もちの半数近くはこの頭痛だという。仕事や日常生活におけるストレス、運動不足、無理な姿勢などによる筋肉や血管の収縮で血行が悪くなり、痛み物質や疲労物質が筋肉にたまると発症する。日常的に経験している人が多い頭痛で、頭を締めつけられるような痛みがあり、首や肩のこり、めまいなどを伴うこともある。

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