骨に専用のドリルで穴を開けてインプラントを埋め込む(『「かめる幸せ」をとり戻す』より。イラスト/ひのあけみ)
骨に専用のドリルで穴を開けてインプラントを埋め込む(『「かめる幸せ」をとり戻す』より。イラスト/ひのあけみ)
上部構造をインプラントに装着する(『「かめる幸せ」をとり戻す』より。イラスト/ひのあけみ)
上部構造をインプラントに装着する(『「かめる幸せ」をとり戻す』より。イラスト/ひのあけみ)

 近年、失った歯の代替法の一つである「インプラント」は、「第二の永久歯」といわれるほど「かむ力」がとり戻せることで注目を浴びています。しかし、「インプラントでは、骨に穴を開ける手術をすると聞いて怖い」と治療をためらう人も。日本口腔インプラント学会は、広く一般の方々に向けて、インプラントについての正しい情報を伝える公式本『「かめる幸せ」をとり戻す』を9月に刊行しました。本書から抜粋する形で「インプラントの手術方法」についてご説明していきます。

*  *  *

 インプラント治療には、手術が必要です。ここが、失われた歯を補うほかの方法である義歯(入れ歯)やブリッジとは異なる点です。

 手術方法には大きく分けて「1回法」と「2回法」があります。

「2回法」の場合、手術は2回おこないます。

 1回目の手術はインプラントを埋入する手術です。
 
 インプラントを埋める部分の歯肉を切開してあごの骨を露出させ、骨にドリルで穴を開けてインプラントを埋め込みます。そして、インプラントを完全に歯肉の粘膜の中に入れて切開した歯肉を元通りに縫い合わせます。これで1回目の手術は終了です。

 手術時間は約30分~1時間で、局所麻酔をしておこないます。
 
 その後、インプラントと骨が結合するまで、骨の状態やインプラントの種類にもよりますが、2~6カ月程度待ちます。インプラントと骨が結合するまでの期間は、個人差がありますが、一般的に上あごで2~6カ月、下あごで2~3カ月といわれています。

 インプラントと骨が結合していることが確認できたら、2回目の手術です。

 再び歯肉を切開し、インプラントの頭の部分、上部構造を連結するネジ穴の部分を歯肉の外に露出させます。そして、頭の部分にチタン製のキャップ(ヒーリングキャップ)を一時的に装着して、そのまま切開した歯肉の治癒を待ちます。

 歯肉の傷が治るのを1~2週間ほど待って、上部構造の製作を開始します。

次のページ