その後、緊急避妊薬の市販化については見送られたままでしたが、今回、男女共同参画に必要な女性の健康支援策の一つとして、改めて検討する課題として掲げられたようです。

 緊急避妊薬の市販化されると、性感染症が増えるのではないか、といった声や、悪用・乱用されるのではないかといった意見がありますが、ワシントン大学のSecure氏らは、無料で避妊法を提供しても、性交頻度は上昇したものの、性交渉相手の数や性感染症(STI)・クラミジアと淋病の頻度上昇は認めらなかったと報告しています。

 日本の性教育は不十分だから、安易な使用が広がるという指摘もありますが、男性の避妊法であるコンドームが安価で容易に手に入る一方で、女性の避妊法である緊急避妊薬はどうしてこんなにも高額で手に入りにくいのか、私には不思議で仕方ありません。

 果たして、本当に緊急避妊薬の薬局での販売が許可されるのか、また、実際薬局で販売されるとしたら、手に届きやすい安価な値段となるのか、注目して見守りたいと思います。

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山本佳奈

山本佳奈

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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