捕手は「併用」が主流に? 各球団のスタメン選手から“傾向”を探る (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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捕手は「併用」が主流に? 各球団のスタメン選手から“傾向”を探る

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今季は巨人の捕手で最もスタメン出場が多い大城卓三(画像は読売ジャイアンツからの提供写真)

今季は巨人の捕手で最もスタメン出場が多い大城卓三(画像は読売ジャイアンツからの提供写真)

 その要因を考えてみると、まず目立つのが故障者の多さだ。嶋が新加入したヤクルトはその嶋が2度にわたる故障で戦列を離れ、本来正捕手である中村も故障で二軍暮らしが続いている。嶋を放出した楽天もシーズン序盤にスタメン出場することが多かった2年目の太田が現在は故障で戦列を離れており、巨人からトレードで急遽田中貴也を獲得した。

 ソフトバンクと首位争いを演じているロッテも昨年まで正捕手を務めていた田村が故障によって半分以下のスタメン出場となっている。接触プレーから捕手を守るために2016年からコリジョンルールが採用されてはいるものの、やはり捕手というポジションにかかる肉体的な負担は大きいということがよく分かるだろう。

 もうひとつ考えられるのはデータの多様化だ。12球団中11球団がトラックマンを導入してボールの回転数、打球の角度といったこれまで分からなかったデータの集計が可能になり、データ分析の専門家を置く球団も増えてきている。そうなると最も影響が出てくるのはやはり捕手だ。配球面を考えるうえで考慮に入れるべきデータが増えたことで、捕手にかかる負担が増えているということは確かにあるだろう。また投手と捕手の相性という点も以前と比べてデータで分かるようになり、その投手専用の捕手といった起用が増えていることも確かである。

 かつては強いチームには名捕手ありと言われていたが、このような事情を考えると一人の捕手が長く正捕手として君臨するというのは困難になってきているのかもしれない。以前ヤクルトで正捕手を務めた八重樫幸雄さんに話を聞いた時には、捕手は試合に出たり出なかったりすることが続くと試合勘を保つのが難しいという話をしていたが、これからは試合に出ない時でもそういった感覚をキープできるかが重要になってくることになりそうだ。また起用する側も難しい時代になっていると言えるだろう。令和の時代の捕手起用にもぜひ注目してもらいたい。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。


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