今季は巨人の捕手で最もスタメン出場が多い大城卓三(画像は読売ジャイアンツからの提供写真)
今季は巨人の捕手で最もスタメン出場が多い大城卓三(画像は読売ジャイアンツからの提供写真)

 野球で扇の要とも言われる捕手。かつては野村克也などごく一部を除いてとにかく守備が重視されるポジションだったが、90年代以降は古田敦也、城島健司、谷繁元信、阿部慎之助などの打てる捕手がいるチームが覇権を握る時代が続いた。

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 しかし今シーズンを見てみると、両リーグで規定打席に到達しているのは森友哉(西武)の一人だけ。その森も9月以降はスタメンを外れることが増えており、今では完璧なレギュラーとは言えない状況となっているのだ。改めて12球団の捕手でスタメン出場した試合数をまとめると以下のようになった。

【セ・リーグ】

巨人
大城卓三:53試合
炭谷銀仁朗:30試合
小林誠司:4試合
岸田行倫:3試合

・DeNA
戸柱恭孝:52試合
伊藤光:14試合
高城俊人:14試合
嶺井博:13試合

阪神
梅野隆太郎:70試合
坂本誠志郎:12試合
原口文仁:9試合

・広島
会沢翼:45試合
坂倉将吾:32試合
磯村嘉孝:11試合
石原慶幸:2試合

中日
木下拓哉:48試合
郡司裕也:16試合
A.マルティネス:15試合
加藤匠馬:13試合

ヤクルト
西田明央:46試合
中村悠平:12試合
古賀優大:12試合
嶋基宏:11試合
井野卓:5試合
松本直樹:4試合

【パ・リーグ】

・西武
森友哉:68試合
岡田雅利:12試合
柘植世那:10試合

ソフトバンク
甲斐拓也:73試合
高谷裕亮:18試合
九鬼隆平:1試合

楽天
太田光:51試合
足立祐一:25試合
下妻貴寛:13試合
堀内謙伍:2試合
石原彪:1試合

ロッテ
柿沼友哉:46試合
田村龍弘:41試合
佐藤都志也:3試合
江村直也:2試合

日本ハム
宇佐見真吾:44試合
清水優心:39試合
石川亮:8試合
鶴岡慎也:1試合

オリックス
若月健矢:54試合
伏見寅威:30試合
松井雅人:8試合

 12球団中8球団で4人以上の選手が先発マスクをかぶっているのだ。全試合の7割以上でスタメン起用されている選手は梅野、森、甲斐の3人だけ。森も後半戦はスタメンを外れることが多く、正捕手が確立できているのは阪神とソフトバンクの2球団だけと言えるだろう。ここまで少ないのは過去にも例のないことである。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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