そして、2020年の任命除外問題である。

 菅政権はなぜアカデミズムに手を突っ込むようなことをしたのだろうか。

 大学教員から、学問の自由が脅かされると強く反発されるのはわかっていたはずだ。アカデミズムが権力の監視機能を持てなくなる恐れもある。学術会議と政権が常に緊張関係にあったほうが、その国の成熟度を見ることができよう。教養知、専門知を軽視する国家が発展するとは思えない。

 今回の件で、学術会議の存在を初めて知った方も多いだろう。これまで多くの声明、提言を発信してきたが、残念ながら、最近ではかつてほど話題にならなくなった。

 日本の学者は何を考えているのか、政権に対してどのような意見を持っているのかを知るためにも、学術会議の動向に注目したい。

(文/教育ジャーナリスト・小林哲夫

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