私は7月末までNHKの報道局でディレクターをしていた。2年4カ月ほど前に、「若者に政治を身近に届ける番組を作りたい!」と意気込んで入局した。しかし、自分の力不足で、それを実現するのには、あと10~20年ほどかかり、その時は、私はもう若者ではないことに気づき、モヤモヤしていた。NHK勤務と並行してお笑い芸人もやりつつ、YouTuberでもあった私は、今後は時事YouTuberに転身することを決め、NHKを辞めた。
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そんな折、安倍さんが辞任するかもしれないといううわさが流れ、本当に辞めた。そして、あれよあれよという間に、自民党の総裁選が行われることに。せっかくの歴史的瞬間だし、行くしかない! そう思い立ち、今度はフリー記者として取材に行くことにした。菅義偉さん、岸田文雄さんの出馬会見に駆けつけ、石破茂さんは政策記者会見に参加した。だが、記者会見の現場で垣間見たのは、おじさん政治家と政治部記者たちが繰り広げる、ただただ“眠たい”デキレースだった。
●男社会が当然という空気
今回は女性候補者がいない。稲田朋美さんや野田聖子さんなど、意欲がありそうな人たちも今回は断念した。候補者だけではない。会見に行くと、とにかく女性記者が少ないことに驚いた。ざっと見渡しても、1割もいない。少なすぎる。記者会見では、男性記者から経済政策、コロナ対策、外交問題、安倍政権の継承の有無などを中心に質問が飛び交う。その一方で、「女性活躍」「教育」「子育て」に関する質問は、圧倒的に少なかった。政界での女性活躍が遅れているのは、こうした場所に女性のベテラン記者を送り込まないマスコミにも責任があるように感じた。マスコミには女性が多い部署もある。人がいない訳ではない。政治の世界にもしっかりとそういう人を置くべきだ。女性活躍が遅れていると報じることは大事だが、その一因を作っているのはマスコミ自身だということにも気づくべきだろう。