一方で、WHOは、医療用マスクと布製マスクの使い分けについても指摘しています。医療施設での布製マスクの使用を評価した研究では、綿の布製マスクを使用している医療従事者は、医療用マスクを着用している人と比較して、インフルエンザのような病気のリスクが高いことがわかったことや、布製のマスクは医療用マスクと比較して隙間が大きいこと、さらに布製マスクの使用は効果についてエビデンスが乏しいことから、医療従事者の保護には適切ではないと考えられる、と指摘しているのです。


 
 街中や車内でマスクを着用しない人を探すほうが難しいくらい、皆がマスクを着用するようになった一方で、マスクから鼻が出ていたり、顎を覆っていたり、頬のあたりに隙間ができているような方も多く見受けられるような気がします。

 炎天下の中でのマスクの着用は、熱中症のリスクや肌トラブルの元になるので細心の注意が必要ですが、適切に着用できていなければ、そもそもマスクをつけている意味がなくなってしまいます。

 サイズが自分に合っているか、マスクがずれてしまって鼻が出ていないか、頬のあたりに隙間はないか、など適切に着用できているかを今一度確かめる必要はありそうです。

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山本佳奈

山本佳奈

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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