「信頼を得ていないのは、根尾本人もわかっている」

 周囲の期待に応えようと必死にプレーしている、と中日担当記者はフォローする。

「打撃での結果が出ないので、守備を含め、すべてにおいて手を抜かないことを意識している。例えば、走者がいて自分に打球が来たら絶対に全力で返球をする。倒れ込むような勢いで全力返球するような姿も見かける。まるで高校球児のような全力プレーをしているんです」

 今できることをやる。計画性を持って実直に成長した選手であることは有名だ。

「本人は腐ることなくしっかりやっていますが、表情は暗く見えますね」

 全力返球の姿勢がDeNA戦では2試合続けて結果にもつながった。5日は中継プレー、6日にはレーザービームで二塁走者を本塁で刺した。また結果的にはセーフとなったが、ライトを守っている時には、一塁をオーバーランした打者走者をアウトに仕留めたかに見えたプレーもあった。まだまだ課題はあるが、存在感も示しているのは事実だ。

 中日ファンの落語家の立川志らくは、6日に自身のツイッターを更新、根尾の起用法に触れている。

「まだ2軍で育てるべき。1軍で使うならヒットが出るまでフルで出場。どうせ最下位なんだから根尾に賭けるしかない。仮に30打席目に初ヒットが初ホームラン。どれだけ盛り上がるか。このチームには刺激が必要」

「根尾のあのプレーがあったなら最後まで打たせるべき。まあ素人考えだが」

 調子の上がらないチームに対しイライラを募らせている師匠。レーザービームの件も含め、根尾がチームに与える影響に期待している。

 ここ数年、優勝争いには加われなかった中日。しかしその間少しずつではあるが、チーム力の底上げを図ってきた。世代交代も推し進め大型高卒新人・石川昂弥や即戦力捕手・郡司裕也など新戦力も加わった。キャプテン高橋周平や強打者ダヤン・ビシエドも健在。育成上がりの捕手アリエル・マルティネスという掘り出し物も見つかった。中日の未来は明るく、投手陣強化などが進めば黄金時代到来も夢ではない。

 根尾はその中心にいなければならない。今は何かと逆風も強いだろうが、超えていけるだけの才能と誰もが認める人間力を備えている。中日関係者だけではない、野球ファンのすべてが新しい世代のヒーローとして期待している。