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「インプラントは人工物だから歯周病にならない」は間違い 天然歯に比べ防御が弱い理由

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(イラスト/渡辺裕子)

(イラスト/渡辺裕子)

 このほか、糖尿病やアルコール摂取、遺伝的要因などが影響する可能性も指摘されています。

 また、口の中の問題としては、隣り合った歯の状態、かみ合わせやブラキシズム(歯ぎしり)などの問題で、インプラントにかかる過度な負担もインプラント周囲炎のリスクとなりえます。

 インプラント周囲炎にならないためにはインプラント治療の前に歯周病の治療をきちんとおこなうこと、インプラント治療後は天然歯の部分と同じくインプラントを入れた部分のセルフ・ケアを丁寧にし、プラークコントロールを維持することが大事です。セルフ・ケアの方法については主治医や歯科衛生士がやり方を教えてくれます。

 また、メインテナンスは主治医に指示された通りに受けましょう。インプラントの部分だけでなく、天然歯についても歯周病が悪化していないかをX線検査などと併せて確認し、異常があれば早期に対処してもらうようにしましょう。なお、こうした背景から、インプラントを入れる場合は歯周病に詳しく、メインテナンスをきちんとしてくれる歯科医師を選ぶことをおすすめします。

■インプラント周囲炎になってしまったらどうするか

 インプラントを入れている部分に出血や腫れなどの異常を感じたら、できるだけ早く受診しましょう。インプラント周囲粘膜炎の段階であればプラークコントロールにより、よくなることが多いのです。かみ合わせの不具合などが、この炎症の引き金になっている場合はかみ合わせの調整をおこないます。また、インプラントの周囲に健康な角化歯肉を移植し、インプラント周囲の歯肉の防御機構を高める方法も一部の歯科医院ではおこなわれています。

 インプラント周囲炎に進行している場合は外科的治療も検討します。炎症の起こっている歯肉を取り除いたり、歯肉を切開して本来歯肉や歯槽骨に埋まっているインプラントを露出させて、その表面を洗浄・殺菌や研磨したりする治療で、再生療法で骨を増やす治療などもあります。このようにインプラント周囲炎の治療は年々、進歩しており、その結果、インプラントを抜かなければならないケースは減ってきています。

 一方で、こうした治療がどの歯科医院でもおこなわれているわけではありません。中には科学的根拠が十分でない治療法もあります。また、インプラント周囲炎の治療はインプラント治療と同様に自由診療になるので、どのような処置を受けるか慎重に決めるようにしてください。

※『続・日本人はこうして歯を失っていく』より

≪著者紹介≫
日本歯周病学会
1958年設立の学術団体。会員総数は11,739名(2020年3月)。会員は大学の歯周病学関連の臨床・基礎講座および開業医、歯科衛生士が主である。厚労省の承認した専門医・認定医、認定歯科衛生士制度を設け、2004年度からはNPO法人として、より公益性の高い活動をめざしている。

日本臨床歯周病学会
1983年に「臨床歯周病談話会」としての発足。現在は、著名な歯周治療の臨床医をはじめ、大半の会員が臨床歯科医師、歯科衛生士からなるユニークな存在の学会。4,772名(2020年3月)の会員を擁し、学術研修会の開催や学会誌の発行、市民フォーラムの開催などの活動をおこない、アジアの臨床歯周病学をリードする。


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