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「インプラントは人工物だから歯周病にならない」は間違い 天然歯に比べ防御が弱い理由

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(イラスト/渡辺裕子)

(イラスト/渡辺裕子)

 もう一つはインプラント周囲の歯肉の血流が少ないことです。歯肉で歯周病菌が増殖を始めるとからだはなんとかして菌をやっつけようと、毛細血管の血流を通じて病原菌を殺す働きをする白血球を歯肉にたくさん送り込んできます。つまり、歯肉が炎症を起こすのは血流が豊富になり、白血球が歯周病菌と戦っている証拠です。この戦いにからだが勝てば歯周病の勢いもおさまります。一方、インプラントを囲む歯肉は歯根膜という組織がないために天然歯に比べて毛細血管の数が減っています。このため血流が不足しやすい状態になっているのです。

■最悪の場合、インプラントを抜かなければならない

 インプラント周囲の疾患は、進行状況によって2つに分類されます。症状が歯肉にとどまり、出血や排膿などの異常がないものを「インプラント周囲粘膜炎」、歯槽骨の破壊が起こっているものを「インプラント周囲炎」と呼びます。

 日本歯周病学会が実施した「歯周病患者におけるインプラントの実態調査」では同学会の診療施設で歯周病治療後にインプラント治療を実施した34の機関、267症例(治療終了後3年以上が経過し、2012年10月~2013年9月にメインテナンスを受けた患者)を対象にどのくらいの人がインプラント周囲炎やインプラント周囲粘膜炎を発症したかを調べました。その結果、インプラント周囲粘膜炎は33・3%、インプラント周囲炎は9・7%という結果が得られました。

 これは歯周病専門医がいる施設での調査です。インプラント治療をおこなっている歯科医院は多数ありますから、実際にはもっと高い割合で発症していると考えられます。インプラント周囲炎が進行するとインプラントが埋入されている歯槽骨が破壊され、最悪の場合インプラントを抜かなければならなくなります。せっかく入れたインプラントを長持ちさせるためにも予防対策が重要になってきます。

■こんな人がインプラント周囲炎になりやすい

 インプラント周囲炎になりやすい人も明らかになっています。まずは歯周病があること。歯周病をきちんと治さずにインプラント治療をおこなうと、歯周病菌がインプラントにも感染する可能性が高いためです。また、インプラント治療後にセルフ・ケアやメインテナンスを怠ると、インプラント周囲の細菌が増えるために、やはり、インプラント周囲炎が発症しやすくなります。喫煙もリスクと考えられています。


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