※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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福田 洋(ふくだ・ひろし)/順天堂大学大学院先端予防医学・健康情報学講座特任教授。専門は予防医学、産業保健、ヘルスリテラシー。産業衛生指導医、人間ドック健診指導医、日本プライマリ・ケア連合学会認定指導医。さんぽ会(産業保健研究会)会長
福田 洋(ふくだ・ひろし)/順天堂大学大学院先端予防医学・健康情報学講座特任教授。専門は予防医学、産業保健、ヘルスリテラシー。産業衛生指導医、人間ドック健診指導医、日本プライマリ・ケア連合学会認定指導医。さんぽ会(産業保健研究会)会長

 緊急事態宣言による緊張が解け、会社に出勤する人も増えた。この数カ月で一気に普及したテレワークは、企業にどのような「働き方改革」を迫るのか。5月下旬、企業の産業保健に携わる人々がオンラインで集まり、議論がおこなわれた。テレワークの何が良くて、何が悪いのか――現場を知る医師に聞いた。

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「通常勤務に戻すめどが立たない」「第2波の対策といっても、そもそも第2波の基準は?」「テレワークで仕事に集中できたという人もいれば、そうでないという人もいる」……。

 オンライン会議ソフト・Zoomのコメント欄に次々と意見が挙がった。産業医や人事担当者など、多種多様な産業保健関係者が交流する会・さんぽ会(産業保健研究会)だ。5月下旬におこなわれた月例会には80人超の関係者がZoom上で参加。「企業の新型コロナ対応」をテーマに、各々が関わる企業での困りごとや取り組みについて議論が行われた。

 ある大手小売系企業に関わっている参加者はこう話す。

「禁煙外来などもオンラインに移行しましたが、そもそもオンラインでコミュニケーションを取るということにハードルを感じている人もいます。リモートワークにしても、世代と世代の間にデジタルディバイド(ITを利用できる人とそうでない人の格差)ができてしまっているようです」

 コロナ後の世界で、企業はどのように従業員の働き方を設計していくべきか。自身も大手企業の産業保健に関わる順天堂大学大学院先端予防医学・健康情報学講座特任教授の福田洋医師は、月例会で「企業の新型コロナ対応~今後の収束を見据えて」というテーマで講演をおこなった。世界規模で推進されたテレワークについて、「ネガティブな面とポジティブな面の両方が挙げられている」という。

 イギリスの調査機関・Institute for Employment Studiesは4月、ロックダウン下でテレワークをしている850人のイギリス在住者へ調査をおこない、健康の変化についてまとめた。調査によれば、肩こりや頭痛、運動不足といった身体的な面だけでなく、朝気持ちよく起きられない(40%)、長時間労働(48%)、飲酒量の増加(20%)といった課題も発見された。

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就業時間外のメール着信に敏感になり精神的負荷が