日本でもコロナ以前に類似の調査がおこなわれている。935人のテレワーク従事者にテレワークのデメリットを聞いたところ、「仕事と仕事以外の切り分けが難しい(38.3%)」「長時間労働になりやすい(21.1%)」といった課題が挙げられた(平成27年 労働政策研究・研修機構 情報通信機器を利用した多様な働き方の実態に関する調査)。さんぽ会の調査でも従業員がテレワークのストレスを感じているという企業は、54.2%に及んだ。

 こうした課題に加え、福田医師は「メールやSNSへの返信圧力」の存在を指摘する。仕事を滞らせまいとするあまり、就業時間外でさえメールやメッセージの着信に敏感になり、精神に負荷がかかってしまう――2018年の国際産業衛生学会でも「テレプレッシャー」として報告された、比較的新しい概念だ。

「いつでもどこでも仕事ができる時代になった、現代特有のストレスだと思います。そのうえテレワークの推奨によってメールなどの数も増え、オンラインでのコミュニケーションの重要性も高まっている。もともと不安を感じやすい人が、感染症への不安も相まって、よりプレッシャーやストレスを受ける可能性は考えられるでしょう」(福田医師)

 一方、テレワークにはもちろん良い面も多い。福田医師は下記のようなメリットがあると解説する。

・通勤時間を節約できる
・マイペースに働ける
・嫌な上司に会わなくて済む
・ブレイク(息抜き)しやすい
・食事が規則的になる(不規則になる人もいる)
・仕事に集中しやすい
・家族団らんの時間が取れる
・タスクが明確になる

「テレワークのメリットを感じた人からは、『また通常業務に戻れるのだろうか』という懸念も挙げられています。コロナ以前に時間を費やしていた仕事関係の外食や通勤などがなくなり、健康になったという人もいます。いままで無理に働きすぎていた、ということに気づいた人もいるのではないでしょうか」(同)

次のページ
「風邪で休めるようになった」など明るい意見も