※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 厚生労働省は毎年6月を男女雇用機会均等月間と定め、均等法などの周知徹底に取り組んでいる。しかし、世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」ランキングにおける日本の順位は年々下落し、2019年版では過去最低の121位という状況だ。そのようななか、世界を襲った新型コロナウイルス感染症。窮状を訴える現場の団体と、経済的な分析をいち早くおこなった専門家に話を聞いた。経済停滞によって被害を被っているのは、女性だった。

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「休校措置のため保育園に息子を預けられず、やっている保育園を探し回りました。結局、どこもやってなくて、仕事もなくなったので、どうでもよくなりました」

 四国在住のAさん(30)は1歳の息子を育てるシングルマザーだ。これまでスーパー、工場、バーなどで短期のアルバイトを続けていたが、新型コロナウイルスの感染拡大により失職。収入は3分の1に減った。なんとか貯金と手当で暮らすものの、家賃や食事、子どものおむつ代は賄えない。食費を削る日々が続き、栄養が取れず母乳が出ないこともあった。

「母子家庭にお弁当を配っているというニュースを見ましたが、赤ちゃんを対象にした特別な支援はありません。母子家庭の手当を加算する自治体に引っ越そうかと本気で思うこともありました」(Aさん)

 NPO法人リトルワンズは、シングルマザーを中心に一人親家庭の支援をおこなう団体だ。食料、文房具、おむつなどの提供に加え、相談窓口を設置して、家賃が払えない家庭のサポートなどもおこなっている。Aさんはリトルワンズに相談し、おむつと食事の提供を受けた。家賃についても、補助があることを聞き、団体スタッフにオーナーと話し合ってもらい、滞納扱いにならずに済んだ。

 リトルワンズの広報によれば、こうしたケースのほか、間借りしている知人の家から追い出されたり、家庭内暴力を受けて家から逃げ出したりといったケースも増えているという。例年は春には新年度の進学のお金の相談がメインだったが、今年は全国からこうした相談も増えているそうだ。

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コロナ後は相談件数が3倍に