たとえば、対人的な仕事に限らずリモートで仕事をする女性であっても、マイナス面が大きいという。それが家事の負担だ。

「これを示唆するデータの一つとして、アメリカの研究者の論文の投稿数をみると、コロナ以前と以後でトレンドが全く変わっている。これまで女性研究者の投稿数は上がってきていたのですが、コロナ以後には“がくっと”下がっているのです」(同)

 また、一般的な仕事に比べて賃金の低い対人的な仕事に女性が就きやすいという面も大きい。

「看護師や保育士など、対人的な仕事に女性が多いのは日本だけではありません。今回のコロナショックが女性に与える影響が大きいというのも、世界共通の課題です」(同)

 家事は女性がやるべき、女性は対人的な仕事が向いている――今も残存するこうした社会的通念を政策で一変させるのは難しいことなのかもしれない。しかし、もし男女の賃金格差が、職種だけでなく雇用形態の違いや家事負担の偏りなどにも起因しているのだとしたら、そうした「不均衡」はならされなくてはならないだろう。

(文・白石圭)