中継ぎも迷うことなく山口を選出した。プロ入り2年目の4月に支配下登録されると、層の厚い巨人の中でも中継ぎとしての地位を確立。翌年からは9年連続60試合登板というプロ野球記録を打ち立て、まさに鉄腕と呼べる活躍を見せた。2019年シーズン終了時点では、育成選手出身で最も成功した選手と言えるだろう。

 抑えの西野は支配下登録まで4年かかったものの、一軍デビューとなった2013年に先発としていきなり9勝をマークしてブレイク。翌年からは抑えに転向して3年連続20セーブ以上をマークし、2015年には第1回プレミア12の日本代表候補にも選出されている。2017年以降は故障もあって成績を落としたが、昨年は37試合に登板するなど復活の兆しを見せている。

 こう見ると投手3人はいずれも日本代表クラスであるが、他にも現役で一軍の戦力となっている選手は多く、山田大樹(ソフトバンクヤクルト)、二保旭(ソフトバンク)、国吉佑樹(DeNA)、島本浩也(阪神)、石川柊太(ソフトバンク)、砂田毅樹(DeNA)、三ツ間卓也(中日)、張奕(オリックス)、榊原翼(オリックス)、神戸文也(オリックス)、大竹耕太郎(ソフトバンク)などの名前が挙がる。今年も長谷川宙輝(ソフトバンク→ヤクルト)、尾形崇斗(ソフトバンク)、漆原大晟(オリックス)が育成選手から支配下登録されており、いまや育成出身の投手は球界の一大勢力となっていると言えるだろう。

 投手に比べると野手はそこまで大成功という選手は多くないが、それでも戦力になった選手は少なくない。出世頭はやはり捕手の甲斐になるだろう。育成ドラフトでも最下位の6位指名ながら持ち味の強肩を生かして正捕手に定着。2018年の日本シリーズでは6連続盗塁阻止と広島の機動力を完全に封じ、育成出身の選手としては初となるシリーズMVPにも輝いた。昨年は打撃成績も大きく伸ばし、オフに行われた第2回プレミア12の侍ジャパンにも選出されている。

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一塁手は育成出身で初めてヒットを放った男