松本もプロ入り1年目のキャンプからアピールに成功していきなり支配下登録を勝ち取ると、3年目には2番センターに定着して109安打、16盗塁、打率.293とブレイクし、育成出身の野手としては初となる新人王を獲得。同じく育成出身から主力となった山口とともに“育成の巨人”の象徴的な存在だった。

 中村はシダックスで野村克也監督の下で活躍し、プロでも野村監督率いる楽天に入団。一年目から二軍では圧倒的な成績を残すと、2年目の6月には支配下登録されて外野の一角を担った。バットコントロールには天才的なものがあり、ストライクゾーンを大きく外れたボールでもヒットにしてしまう“悪球打ち”でも有名だった。

 並べてみると野手は圧倒的にリードオフマンタイプが多いことがよく分かる。そういう意味では今年3月に支配下登録されたリチャード(ソフトバンク)や昨年高校卒ルーキーながらいきなりイースタンリーグで首位打者を獲得した山下航汰(巨人)など、今後は強打者タイプの選手が台頭してくることを期待したい。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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