森上展安(もりがみ・のぶやす)1975 年 早稲田大学法学部卒業。森上教育研究所主宰。中学受験や中高一貫教育、学習塾の問題に詳しい。著書に『中学受験図鑑』『入りやすくてお得な学校』(いずれもダイヤモンド社刊)など(撮影/写真部・小山幸佑)
森上展安(もりがみ・のぶやす)
1975 年 早稲田大学法学部卒業。森上教育研究所主宰。中学受験や中高一貫教育、学習塾の問題に詳しい。著書に『中学受験図鑑』『入りやすくてお得な学校』(いずれもダイヤモンド社刊)など(撮影/写真部・小山幸佑)

 初めての中学受験は、家族にとって大きな挑戦。私立は校風も教育方針も学校によって違います。親にとっても子にとっても納得のいく志望校を選ぶためには、どうしたらいいのでしょうか。AERA進学MOOK『カンペキ中学受験2021』では、森上教育研究所主宰の森上展安さんに聞きました。

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 中高教育の一番の目標は、人格の形成です。学校選びは偏差値や進学実績だけでなく、どんな人間に育ってほしいのか、家庭の方針を明確にして似たような教育方針の学校を選びましょう。そのためには夫婦で話し合い、価値観を共有することが肝心です。

 中学受験は、親が自分自身を振り返るきっかけにもなるのです。中学受験は、親が子どもの将来にかかわることのできる貴重な機会。ある程度コースを決めてあげるのも親の役目です。

 行かせたい大学が決まっているようなら、その大学に大勢の合格者を出している学校がいいでしょう。そのうえで通学時間、共学か別学か、付属かそれ以外かなどを選択すれば自ずと志望校は絞られてきます。

 保護者にとっても初めての受験の場合、最初にイメージするのは有名校だと思いますが、そこに入れる子どもはごくわずか。特に保護者が難関校の出身だと思い入れがあり、子どもに過剰な期待をかけがちです。まずは思い込みを捨てて、身近にある偏差値50前後の中堅校を目標にしてみましょう。

 子どもの成績があがったら、「こんな学校もあるよ」と上位の学校へ誘導してあげれば、子どもに余計なストレスをかけることもありません。何よりも学校生活を楽しく過ごすため、子どもが得意な分野で活躍できる学校を探しましょう。

 学校を知るためには、イベント時などに、その学校に実際に通う生徒に尋ねるのが一番です。勉強だけではなく、どんな学校生活を送っているのか、何が楽しみか、聞いてみるといいでしょう。

 学校を見学するときには、先生と生徒の関係を見てみましょう。楽しそうならば、先生と生徒の仲が良好な関係です。掲示してある作品やポスターを見れば、その学校の教育を垣間見ることができます。登下校の様子を見るのもいいですね。わが子と一緒にじっくり見てみましょう。また自宅に帰ったら、その学校のいい・悪いと思った点を、親から子どもにインタビューしてみるといいですね。言葉にすることで、子どものその学校に対する考えが明確になります。

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